古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

黄泉(よみ)の犬     藤原新也

2021-07-12 06:21:27 | 藤原新也

文春文庫   2006

 

1995年は日本の現代史においても、重要なターニング

 

ポイントとなった年だ。オウム事件がそれの最たるもので

 

あり、本書も麻原彰晃について描かれている。

 

麻原が水俣病であったらしいことに言及し、目の見えなか

 

ったことも水銀のせいではないかと推論をすすめ、実兄に

 

会う。というところで雑誌の掲載は中止となったようだ。

 

このあと、実兄に会い、実際に麻原が水俣病であったと明

 

かされる。

 

黄泉の犬が過保護とエゴイズムに満ちた現代にとって、救い

 

となるのか、インドのガンジス川の袂で人を焼いていたのを

 

毎日、じっと見つめ続けたという藤原氏。死んで燃やすと、せ

 

いぜい60ワット三時間くらいの光を放って消えてしまう、と

 

いう。しかし、それは確固とした光となって宇宙を照らす灯と

 

なるだろう。船頭が歌うのだが、その歌詞がまたいい。

 

空中浮遊する麻原失笑の有名な一枚。そのまま何度か反動をつけ

 

飛び上がる。空中浮遊したと本人も自認し、イワシの頭も信心から

 

と同じことで、ただの青年もその時点で聖者になってしまう、と

 

書いている。

 

だからぁ、浮くなっちゅうの。……合掌。

コメント
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