文春文庫 2012
4年近く毎日新聞に書いていたというエッセイ集。
散歩ばかりされていたらしいが、ぼくも趣味は散歩
だ。京橋川沿いを散歩するのはとても気持ちのい
いものだ。小川さんもラブを連れて、散歩をして
いた。ラブはこのエッセー集を出した後、14歳
6か月で死んでしまったという。でも、散歩は続
けておられるようだ。
特に父方の祖父は涙もろかったらしい。小川さんも
涙もろくなったという。とてもよく分かる。40過ぎ
くらいまではぼくもそんなに泣かなかったが、半ばす
ぎてから、TVを見ていても、すぐ泣くようになった。
それも昔だったら、お涙チョーダイだな、とバカにして
いたようなことに泣くのだから、じじいになったもんだ
と自分で呆れる。小川さんは、褒めるのがとても上手だ
し、いい人なんだろうなあ、ぼくもこんないい人にこの
本を読んだらなれるかしらん、と思いつつ読んだ。
トーベ・ヤンソンの「生きるってことは、平和なものじゃ
ないんですよ」と引用している。そうだよな、実感した。