古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

酒と博奕と喝采の日々   矢野誠一+読書考

2023-09-29 06:58:05 | 本の紹介
読書する時、昔は音楽を聴いて読んでいた。

それは、90年代だが、マイケル・ジャクソン

やプリンスを聴きながら、村上春樹氏を読んだ

りしていた。よく、物事の本質ってもんをわかって

いない頃で、今では、なにも聴かずに読んでいる。

静寂の中で、読む悦楽、読書の世界に耽溺できるこ

とを知ってしまえば、音楽など必要がないことが

分かるだろう。

まあ、耳が弱くなったっていうのもあるかもしれ

ない。活字を読む悦楽を知ってしまえば、時間と

いうものの概念が変わってくる。宇宙空間のどこかに

読んだということはメモリーされていて、それは。

経典のように、数珠繋ぎになっているのだろう。

これは、いささか、理解し辛いかも知れない。

空論でありさえするだろう。しかし、それが、読書

というものの本質だ。いや、話しがいささか空転し

てきた。

今日は1995年に発表された、矢野誠一氏の酒と

博奕と喝采の日々、ですよ。

文藝春秋  1995年

よく知られたトニー谷や水原弘にはじまり、マイナーな

桂文我、伊藤一葉まで、よく取材し、ユーモアを交えて

紹介されている。破滅型といわれるトニー谷の生き方に

芸人の意地を見るような気がする。16人にわたって

紹介されているのだから、目移りも激しい。越路吹雪は

稀代のエンターテイナーだったという。ぼくとはまったく

縁のない世界で、どう表現したらいいかすら分からない。

ここは、これらの人々を表す文章を読んでいただくしか

あるまい。とても、よくできた文章で、おもしろく読める

に違いないから。

                   (鶴岡 卓哉)
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