古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

父   幸田文

2024-08-12 11:30:36 | 本の紹介

新潮社 昭和24年

 

文女史は露伴の娘であり、その父を看取った

 

ことが描かれている。たいてい、誰もが親を

 

看取ることになるだろう。文女史の場合、

 

文豪の気難し屋とあってはいろいろ悩みも

 

多かったようである。いろいろ我が儘を露伴

 

は言ったらしく、例えば、氷を食べたいと

 

言えば、文さんは氷を駆けずり回って、手に

 

入れたという。愛憎入り混じった感情が渦巻

 

いていて、読むのもなかなかにして辛いも

 

のがある。決して、楽しい読書というわけ

 

にはいかない。苦読である。読書というものは

 

耐えるということでもある、ということを

 

教えられた気がする。文豪を父上に持つ悲哀

 

というか苦労、悼み入ります。

 

寝たきりになって、その大変さが身に沁みて

 

分かってくる。

 

ああ、わしの親も寝たきりにならなければい

 

いなあ、と思った。

 

(読了日 2024年7・18(木)23:20)

                (鶴岡 卓哉)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする