河出文庫 2001年
ぼくは平出隆(ひらいで・たかし)氏と言う人を
存じ上げなかった。フランスでの成功、といって
も単行本3695部というから、大した成功でも
ないだろう。日本での知名度も著しく低いだろう。
この「猫の客」も説明が複雑で分かりにくく、ス
トーリーも極めて凡一。大して変わったことは起
こらない。チビと呼ばれる猫が隣りから半日以上
遊びに来ていて、その猫が神秘的なところのある
猫として描かれている。その猫も交通事故で突如
死んでしまう。不思議な死に方だったという。
現れ出たところと同じ場所で事故にあったのか、
ぐったりとしていたらしい。猫との出会いと別れ
を日本的な視点から描いたのが、フランスの親日
家にウケたのだろう。ぼくは、けっこう、退屈し
ないで読めたが、人によっては違った意見も出て
くるかもしれない。
知名度の低いのもなんとなく頷けるかもしれない。
1950年生まれの75歳。この本が代表作らしい。
(読了日 2024年7・11(木)19:48)
(鶴岡 卓哉)