新潮社文庫 昭和25年
「父」と「こんなこと」が収録された本書。
本書についての考察は塩谷登氏の解説をお
読みになるといいだろう。獅子が子を谷に
落とすようだ、という指摘は、まさにその
通りだ、と思う。露伴氏に仕込まれて、か
なり痛い目にあったようだが、ぼくの父は
なんちゃって作家なのだが、そう大してう
るさいことは言わなかった。いびられては
いたが。まだ、健在だが露伴氏とは比べる
べくもなく小人だ。文氏はお正月を恐れて
いたそうで、露伴氏が不機嫌でやねこかっ
たらしい。性教育についても言及していて、
文氏はなかなか初心らしからぬところもあ
ったようだ。すべて作品の出発点となった
本書。文氏の入り口としてはよかったので
はないか、と思っている。
(読了日 2024年7・22(月)23:20)