「少女には向かない職業」桜庭一樹 創元推理文庫
今、話題の新進気鋭、桜庭一樹。
「赤朽葉家の伝説」では日本推理作家協会賞、
「私の男」では直木賞受賞。
「赤朽葉家の伝説」は、「このミス」国内2位もとっていますよね。
それで、書店の店頭でも、最近ずいぶんこの人の名前をよく見かけるなあ、と思っていました。
でも、名前から察して、男性と思い込んでいたら、
先日新聞にインタビュー記事があって、なんと女性でした!
それで、急に、読んでみようかという気になったのです。
まずはお試しとして文庫のこんなところから・・・。
冒頭がこうです。
「中学2年生の一年間で、あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した。
・・・・・・あたしが思ったのは、
殺人者というのはつくづく、少女には向かない職業だということだ。」
う~ん、ここでちょっといやな予感がしたんです。
ライトノベル作家ですよね。
多分私の偏見だと思いますが、
意味無く退廃的、虚無的で、陰惨
・・・て、いやな前例がありまして。
これもその類なのかなあ・・・と。
好き好きですが、私には向きません。
しかし、良い方に予想が外れまして、結構気に入りました。
まあ、実際ちょっと悲惨な話ではありますが、
いまどきの少女の、友人間の微妙な距離感、とか、
繊細かつ大胆、やさしく、そして残酷、そんな矛盾した不安定さが、
きちんと描かれていると思いました。
中学生の少女の殺人。
・・・といってしまうとあまりにも猟奇的に聞こえますが、
これも一つはほぼ偶発的なものであり、もう一つも、不安定さゆえの暴走。
予想したほど、変に残酷でもありません。
この人が書いた長編なら、やはり読んでみようかな、と、そういう気になっております。
満足度★★★★