映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

レンブラントの夜警

2008年02月12日 | 映画(ら行)

17世紀オランダ。
名声を得た画家、レンプラントが転落するきっかけとなった「夜警」の謎に挑む、とあります。
富と名声をほしいままにしていた、レンブラント。
あるとき、アムステルダムの市警団の肖像画を依頼されるのですが、
金と欲望にまみれたその実態を見て、彼の絵にそれが現れてくる・・・。

しかし、これはそれだけがテーマなのではなく、彼の「愛」のあり方を描いたものでもあります。
レンブラントを支えた画商の姪、というのが彼の妻サスキア。
妻は彼のマネジメントも担当し、うまくいっていたのですが、これが本当の愛なのかと、彼は疑っていた。
しかし、妻は一児を残し病死。
そこで始めて実はとても深く妻を愛していたことに気づく。
そのむなしさから、次には家政婦と愛欲にふけり、自堕落な日々。
このあたりと彼の画家生命の転落が重なり、
すべてをなくしたときに、まだ残っていたつつましい愛に気づく・・・、
と、こういうことなのです。
が、うーん、結局テーマがこのように分散してしまい、焦点ボケ。
何が一番言いたかったのかよく分からず、退屈な出来になってしまった、と思います。
病、貧困、支配するものとされるもの・・・
当たり前にそこにある、当時の世界観は、うまく表されていました。


でも、さすが美術要素が絡んだ作品なので、映像は凝っていますね。
この映画は、映画というよりは、演劇的だと思いました。
よく出てくるシーンが広いアトリエの真ん中に置かれた天蓋付きの大きなベッド。
ベッド周りのカーテンが、舞台の幕のような雰囲気になっています。
それから、屋上のシーンも何度も登場。
…第○幕、という雰囲気。
客席から舞台を眺めるようなカメラワークです。

舞台奥に光源がある、いわば逆光のシーンも多かったですね。
また、映像の一つ一つが絵画的。
セピア調のおさえた色彩、光と影、まさにレンブラントの絵を相当意識した作りになっています。

2007年/カナダ・フランス・ドイツ・ポーランド・オランダ・イギリス/139分
監督:ピーター・グリーナウェイ
出演:エバ・バーシッスル、ジョディ・メイ、エミリー・ホームズ

「レンブラントの夜警」公式サイト