映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

アパートの鍵貸します

2012年05月19日 | 映画(あ行)
ラブストーリーの古典。自分を貶めても彼女を守る、男の美学。

                  * * * * * * * * * 

1960年のモノクロ作品。
ラブストーリーのスタンダードといってもいいかも知れません。
好景気でどんどん豊かになっていく、
そんな世相を反映した、ちょっぴりコミカルなラブストーリー。


自分のアパートを、愛人との密会場所として会社の重役に提供していたバクスター(ジャック・レモン)。
そのおかげで彼には昇進の道が開けます。
ところがある日、想いを寄せていたエレベーターガールのフラン(シャーリー・マクレーン)が、
部長のお相手でこの部屋を訪れていると知って愕然とします。
部長はフランに奥さんとの離婚をほのめかしたりするけれど、全く本気ではない。
フランは本気で部長を愛していて、彼との結婚に淡い期待を抱いている・・・。


バクスターの会社は巨大な保険会社です。
広いフロアに机がズラーッとならんでいて、
大きな電算機が一つずつ載っていたりします。
今なら百均でも買える電卓が、あの巨大サイズ。
相当高価だったんでしょうね。
もっとも、多分同じ時代、日本ならそろばん一丁で事足りていたと思います・・・。
エレベーターにいちいちエレベーターガールがいて、
電話には交換があって。
そんな時代性が、なんだかとても興味深く思われたのですが、
でも、人を恋する気持ち、人を大切にする気持ちの有り様は、
今も昔も変わらないということです。
見かけはかっこ良くてモテモテというのにはやや遠いバクスターですが、
自分の立場がどんなに悪くなっても、彼女を守ろうとする気持ちは、ナイト。
かっこいいのです。
そんなまっすぐな気持ちがみずみずしく感じられる、古典作品。


こういう男のかっこ良さが最近の映画には欠けているかも・・・。
というか、あまりにも女性が強いので、
女性を守る必要がないんでしょうね。


テニスのラケットでスパゲティの水切りをする。
そんな不器用な料理を、私もごちそうになってみたいものです。

アパートの鍵貸します [DVD]
ジャック・レモン,シャリー・マクレーン
20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント


「アパートの鍵貸します」
1960年/アメリカ/125分
監督:ビリー・ワイルダー
出演:ジャック・レモン、シャーリー・マクレーン、フレッド・マクマレイ、レイ・ウォルストン