映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ブローン・アパート

2012年05月03日 | 映画(は行)
喪失感と罪悪感は十分に感じられるけれど



                * * * * * * * * * 

夫との関係がうまくいっていない若い母(ミシェル・ウィリアムズ)。
(今作では最後まで名前が明かされません。)
彼女はパブで知り合った新聞記者ジャスパー(ユアン・マクレガー)と関係を持ってしまいます。
そして、ある日の情事の最中、
サッカー観戦に出かけた夫と息子が爆弾テロに巻き込まれて死亡。
深い悲しみと喪失感、そして、罪悪感に駆られる彼女。
しかし、次第にそのテロ事件の裏に潜む事実が浮かび上がってきます・・・。



この作品、幼い子を亡くした母親の深い悲しみの描写に心を揺さぶられます。
ところが、です。
その先に語るべき言葉が見つからない。
これは、社会派のドラマなのか。
テロ活動への抗議? 
事件の裏の汚い真相? 
それとも命の賛歌?

・・・一体何を言いたい作品なのだろう。
どうにも焦点ボケで、とらえどころがなくて悩みます。
ミシェル・ウィリアムズとユアン・マクレガーがとてもいい感じなだけに、惜しい。
妻の浮気中に夫と息子が事故死、
その罪悪感の部分をもっとクローズアップしていったほうが良かったのでは、と思います。
事件の裏、なんていうのは無くてもいい話でした。
・・・というのはいかにも女性的解釈でしょうか。

いっそ、不倫部分を切り捨てて、
夫と息子の無念を晴らすため、事件の真相解明に死力を尽くしていく、
というサスペンス路線もありでしょうか。


つまりはやはり、どっちつかずの消化不良の作品と、私には思えてしまいました。

ブローン・アパート [DVD]
ミシェル・ウィリアムズ,ユアン・マクレガー,マシュ・マクファディン
Happinet(SB)(D)


「ブローン・アパート」
2008年/イギリス/100分
監督:脚本:シャロン・マグワイア
出演:ミシェル・ウィリアムズ、ユアン・マクレガー、マシュー・マクファーデン