映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

イノセント・ガーデン

2013年06月08日 | 映画(あ行)
禁断の世界への鍵



* * * * * * * * *

韓国のパク・チャヌク監督、ハリウッドデビュー作です。
本作はけっこう監督の手腕を感じる部分が多くて、
さすが!!と思いました。



インディア(ミア・ワシコウスカ)は、18歳の誕生日に、父を事故で亡くします。
その葬儀の日、
行方不明となっていた叔父チャーリー(マシュー・グード)が突然現れ、
一緒に屋敷で暮らすことに。

始め、この叔父の絡みつくような視線を不気味に感じ、
彼を避けていたインディアですが、
次第に自分と重なる部分が見え、惹かれて行く・・・。
しかし、その頃から身の回りの人物の不可解な失踪が続きます。



オープニングで時折停止する映像(こんなのは、初めて見た!!)。
ぐるぐる回るインディアの背景。
これは一体どういうカメラワークかとおもったら、
彼女が回転する遊具に乗っていたというわけなのですが、
このめまいのするようなシーンも印象的。
それから、虫が多発するのにも心がザワザワします。
クモがインディアの足を這い上がっていく・・・。
これなどは、イヤというほど不快感・不安感をあおります。
不気味な緊迫感が最後まで張り詰めて、
ずっと目が離せない作品となっています。



インディアが母親のイヴリン(ニコール・キッドマン)と
全く相容れないのはどうしてなのでしょう。
普通は母娘の愛情の証のシーンであるはずの、髪を解くシーンが、
こんなにも緊張感に満ちたシーンになってしまうというのも怖いですねえ・・・。
母は母なりに娘の中の何か相容れない部分を嗅ぎとっており、
その緊張感を娘がまた感じてしまうから・・・
だからこういう母娘になってしまったのかもしれません。



18歳の誕生日のプレゼントとして得たのは、
インディアの禁断の世界への鍵。
“戦慄の後の陶酔”とのキャッチコピーですが、
これを陶酔といってしまってもいいのか。
・・・私たちの心のなかにはそういう部分もあるということなんですね。
なんとも怖い作品です。
ホラーとかオカルトとかの怖さとはまた別。


こちらのモノクロイラストのチラシもスキなんですよね~

「イノセント・ガーデン」
2013年/アメリカ/99分
監督:パク・チャヌク
出演:ミア・ワシコウスカ、ニコール・キッドマン、マシュー・グード、ダーモット・マローニー、ジャッキー・ウィーバー

不安感:★★★★☆
満足度★★★★☆