トラウマを乗り越えるための旅

* * * * * * * * * *
実話を元にした作品。
日本人としてはちょっとキツイのですが・・・。
エリック・ローマクス(コリン・ファース)は、
英国兵として出兵していた二次大戦時、
日本軍の捕虜となり、タイとビルマを結ぶ鉄道の建設現場で
過酷な労働や拷問に苦しめられます。
戦争から50年を経て、平穏な生活を送る彼は、
しかし未だにその頃の暗い記憶に苦しめられているのです。
そんな時、日本軍の通訳であった永瀬(真田広之)が、
戦争体験を伝えるために今もタイに暮らしていることを知り、
自らの過去と対峙するため、エリックはタイへ向かう。
そしていよいよ、エリックと永瀬が再会するのですが・・・

連合軍捕虜が日本軍に強要され、鉄路を築く話は
映画「戦場にかける橋」で有名ですが、
実際のところはあんな生ぬるいものではなかったといいます。
あの時、日本軍が中国や東南アジアで何をしたのか・・・。
あまり考えたくはないですが、一度は知っておくべきでしょう。
ただこれは戦況が入れ替われば、
簡単に加害者と被害者が入れ替わることでもあります。
戦争という名の狂気。
…それをこそ、私達は憎むべきなのでしょう。

先日見た「リスボンに誘われて」という映画の中でも、
「加害者側も被害者側も過去を語りたがらない」
という言葉が出てきました。
戦争体験などのあまりにもつらい過去は、
家族や愛する人にさえも告げられないものなのですね。
それは加害者側も同じ。
嵐のようなその時が去った後には、
個人の良心がおのれを苛み続けるもののようです。
自分は悪くない。
上官の命令に従っただけ・・・
そのように自分に言い聞かせながら。
けれど、自分が行った行為の意味を、自分だけはちゃんと知っている。
忘れようにも忘れることができない・・・。
こちらは自分の手を汚したことなので、
なおさら人には告げられないですね。
だからこれもまた、苦しい。

永瀬が繁栄の日本を離れてこんなところに暮らしているのにも、
そんな背景があり・・・。
真田広之さんに「武士」を感じてしまいました。
いや、さすが。
双方がトラウマを乗り越えるには、
互いのトラウマをもっともよく理解してくれる相手が必要だった、
ということかもしれません。
そしてまた、エリックを苦しめ続けた「あの部屋」の記憶。
あれも実際にその場へ行って、中に足を踏み入れることでしか
解決できなかっただろうと思えるのですね。
人の心の不思議さも感じさせる作品でした。

ところで、若き日のエリックは、ジェレミー・アーバイン。
写真がないじゃないですか。
う~ん、残念。
ステキなのに~。
レイルウェイ 運命の旅路
2013年/オーストラリア・イギリス/116分
監督:ジョナサン・テプリツキー
出演:コリン・ファース、ニコール・キッドマン、ステラン・スカルスガルド、ジェレミー・アーバイン
歴史発掘度★★★★☆
満足度★★★★☆

* * * * * * * * * *
実話を元にした作品。
日本人としてはちょっとキツイのですが・・・。
エリック・ローマクス(コリン・ファース)は、
英国兵として出兵していた二次大戦時、
日本軍の捕虜となり、タイとビルマを結ぶ鉄道の建設現場で
過酷な労働や拷問に苦しめられます。
戦争から50年を経て、平穏な生活を送る彼は、
しかし未だにその頃の暗い記憶に苦しめられているのです。
そんな時、日本軍の通訳であった永瀬(真田広之)が、
戦争体験を伝えるために今もタイに暮らしていることを知り、
自らの過去と対峙するため、エリックはタイへ向かう。
そしていよいよ、エリックと永瀬が再会するのですが・・・

連合軍捕虜が日本軍に強要され、鉄路を築く話は
映画「戦場にかける橋」で有名ですが、
実際のところはあんな生ぬるいものではなかったといいます。
あの時、日本軍が中国や東南アジアで何をしたのか・・・。
あまり考えたくはないですが、一度は知っておくべきでしょう。
ただこれは戦況が入れ替われば、
簡単に加害者と被害者が入れ替わることでもあります。
戦争という名の狂気。
…それをこそ、私達は憎むべきなのでしょう。

先日見た「リスボンに誘われて」という映画の中でも、
「加害者側も被害者側も過去を語りたがらない」
という言葉が出てきました。
戦争体験などのあまりにもつらい過去は、
家族や愛する人にさえも告げられないものなのですね。
それは加害者側も同じ。
嵐のようなその時が去った後には、
個人の良心がおのれを苛み続けるもののようです。
自分は悪くない。
上官の命令に従っただけ・・・
そのように自分に言い聞かせながら。
けれど、自分が行った行為の意味を、自分だけはちゃんと知っている。
忘れようにも忘れることができない・・・。
こちらは自分の手を汚したことなので、
なおさら人には告げられないですね。
だからこれもまた、苦しい。

永瀬が繁栄の日本を離れてこんなところに暮らしているのにも、
そんな背景があり・・・。
真田広之さんに「武士」を感じてしまいました。
いや、さすが。
双方がトラウマを乗り越えるには、
互いのトラウマをもっともよく理解してくれる相手が必要だった、
ということかもしれません。
そしてまた、エリックを苦しめ続けた「あの部屋」の記憶。
あれも実際にその場へ行って、中に足を踏み入れることでしか
解決できなかっただろうと思えるのですね。
人の心の不思議さも感じさせる作品でした。

ところで、若き日のエリックは、ジェレミー・アーバイン。
写真がないじゃないですか。
う~ん、残念。
ステキなのに~。
![]() | レイルウェイ 運命の旅路 [DVD] |
コリン・ファース,ニコール・キッドマン,真田広之,ステラン・スカルスガルド,ジェレミー・アーヴァイン | |
KADOKAWA / 角川書店 |
レイルウェイ 運命の旅路
2013年/オーストラリア・イギリス/116分
監督:ジョナサン・テプリツキー
出演:コリン・ファース、ニコール・キッドマン、ステラン・スカルスガルド、ジェレミー・アーバイン
歴史発掘度★★★★☆
満足度★★★★☆