映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

シャーリー&ヒンダ

2017年04月03日 | 映画(さ行)
いくつになっても好奇心旺盛でありたい



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ノルウェーの監督が、あえてアメリカの老婦人を題材にとらえたドキュメンタリーです。



シアトルに住むシャーリー(92歳)とヒンダ(86歳)は、30年来の友人同士。
と言っても30年前でも60歳くらいですね。
この年令で生涯の友に出会えるというのも幸運なことです。
二人はさすがに体の衰えは隠せず、
なかなかスムーズには歩けないので外出時は電動車いすを使っています。

しかし、共に知的好奇心と行動力に満ちています。
この頃(映画は2013年公開)アメリカを襲う不景気の嵐。
二人は「経済は成長しなければならないものなのか?」という命題に夢中になってしまいます。
大学生や大学教授、経済アナリスト・・・
そしてついにはニューヨークのウォール街にまで出没。
アポ無しで大会社のCEOに面談したいなどと言っても相手にもされません。
人々にバカにされたり脅されたり・・・。
それにしても年令に関係なく興味を持ったことに突き進んでいく、
それも経済や政治に関して、というところがすごい。
なかなかまねできることではありません。



二人が、経済の成長というテーマに取り組んだ大きなきっかけとして、
作中ではロバート・F・ケネディの演説がありました。
二人は孫娘から教わってユーチューブでこの過去の演説を見るのですが、
本当に、涙が出そうなくらいにいい演説なんですよ。
「国民総生産」について述べたもの。
ロバート・F・ケネディといえば、先日見た「ラビング」の作中にも
司法長官として名前が出てきていまして・・・。
こういう志の高い方が、若くして亡くなってしまったというのは実に残念なことであります。
いまさら過ぎる話ですが。



さて、このお二人はまだご健在なのでしょうか? 
トランプ大統領についてのご意見をぜひ伺いたいところです。

シャーリー&ヒンダ ウォール街を出禁になった2人 [DVD]
シャーリー・モリソン,ヒンダ・キプニス
SDP


「シャーリー&ヒンダ」
2013年/ノルウェー・デンマーク・イタリア/82分
監督・脚本:ホバルト・ブストネス
出演:シャーリー・モリソン、ヒンダ・キプニス

老年パワー度★★★★☆
満足度★★★.5