映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

夜は短し歩けよ乙女

2017年04月16日 | 映画(や行)
森見ワールドの体現



* * * * * * * * * *

私がはじめて森見登美彦さんを読んで、
すっかりファンになってしまった本作。
しかも星野源さんが“先輩” の声ということで、
やはりこれは見ない訳にはいかないでしょう・・・ということで。


同じクラブの後輩“黒髪の乙女”に恋心を抱く“先輩”は、
「なるべく彼女の目に留まる」
すなわち「ナカメ」作戦を展開します。
乙女の姿を追い求め、夜の京都を歩き回ります。
春の先斗町、夏の古本市、秋の学園祭・・・
そして謎の風邪が蔓延する冬。
外堀を埋めるばかりの“先輩”の恋の行方はいかに・・・?



ちょっと滑稽で幻想的、そして切なくもある森見ワールドは、アニメにピッタリ。
満を持して、という感じのアニメ化でした。


この“黒髪の乙女”が可愛らしいですよね。
ちょっと天然、かなりの酒豪、好奇心旺盛で行動力に富んでいる。
あのお酒の飲みっぷりのなんと頼もしいこと!!
“黒髪の乙女”という呼び名の印象からは遠いですが、
女性からみてもとても魅力的。
一方“先輩”は、かなり自己肯定感が低い。
ナカメ作戦は順調だけれど、そこから先に進めない、草食男子。
と、設定はどこにでもありそうなのですが、
彼らを取り巻く世界観が和風ファンタジック、
そしてユニークなキャラクターたち。
全く退屈しません。



ただし、このアニメよりもう少しほの暗さがでていればよかったかなあ・・・
という気もします。
むか~し、「うる星やつら」のTVアニメに時々あったのですよ。
幻想的で不思議でほの暗く、
いつしかはまり込んで抜け出せなくなりそうな異世界への割れ目が垣間見えるような
・・・そんな雰囲気が。
あの感じが出せたら良かった。



でもまあ、十分楽しめました。
森見ファンなら必見。
そして、この“先輩”に、星野源さんがまたピッタリ!! 
ラストの自分会議のところは圧巻でした。
ナイスキャスティング!

→原作「夜は短し歩けよ乙女」

「夜は短し歩けよ乙女」
2017年/日本/93分
監督:湯浅政明
出演(声):星野源、花澤香菜、神谷浩史、秋山竜次、中井和哉
原作再現度★★★★★
満足度★★★★☆