映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

世界一キライなあなたに

2017年04月21日 | 映画(さ行)
変えられない決意



* * * * * * * * * *

イギリスの田舎町。
ルーは、務めていたカフェ店が廃業したため、失業してしまいました。
そして半年限定という介護の仕事につくことにします。
その介護の相手は、バイクの事故で半身不随となり車椅子生活を送るウィル。
元は快活でスポーツ好きの青年実業家。
しかし今は、手も思うようには動かせないため、
実家で暗い顔をして引きこもったようにして暮らしているのです。
(ただし、実家はかなり裕福)
始めは、ルーを見下したようにして辛くあたるウィルでしたが、
ルーの飾らない人柄と明るさに触れるうちに、
次第に頑なな心を溶かしていきます。
しかし、この仕事が6ヶ月限定というのにはある理由がありました。
ウィルはある決意を胸に秘めていたのです・・・。



あんなにもさっそうとしてハンサムで、生きる喜びに満ちていた人が、
人の手を借りなければ何もできない状況に陥ってしまって思うこと・・・、
それにには十分納得できるような気がします。
以前見た作品で「安楽死」が合法とされていて向かった国は確か、ベルギーでしたが、
ここではスイスでしたね。
けっこうあるのか・・・。



なんとかウィルに生きる希望を見出してほしいと、
ルーはウィルをコンサートや南の島の旅に連れ出します。
けれども実は新たな体験で自分自身の可能性を見つけているのはルーの方。
ウィルはこれまでにあらゆるところに行って、あらゆることをしているはずですよね。
それでもウィルがルーの誘いに乗ったのは、ルーに広い世界を見せたかったから。
こんな田舎町を飛び出して、自分のやりたいことをするようにと、
そういう気持ちがあったからなのです。
そして彼女が喜ぶ顔を見るのか、今のウィルには一番の悦びだったから。



切ないです。
なんて良い奴なんでしょ、ウィル・・・。
そうした「良い奴」でいられるうちに人生の幕を引いてしまいたかった、
という気持ちにも説得力があります。
ラブストーリーではありますが、決してノーテンキではない。
私は好きです。



世界一キライなあなたに ブルーレイ&DVDセット(2枚組) [Blu-ray]
エミリア・クラーク,サム・クラフリン,ジャネット・マクティア,チャールズ・ダンス,スティーヴン・ピーコック
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント


「世界一キライなあなたに」
2016年/アメリカ/110分
監督:テア・シェアイック
出演:エミリア・クラーク、サム・フランクリン、ジャネット・マクティア、チャールズ・ダンス

切なさ★★★★☆
満足度★★★★☆