衝撃的結末に言葉を失う
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ファティ・アキン監督作品。
なので、ドイツ作品ですが登場人物はトルコ系移民に関係します。
特に今回はそこのところが重要。
ドイツ、ハンブルグ。
トルコ系移民のヌーリと結婚したカティヤは、子供が一人いて、しあわせな家庭を築いていました。
ある日、爆発事件で夫ヌーリと一人息子ロッコが犠牲となり命をなくします。
やがてこの事件は、人種差別主義者(ネオナチ)のドイツ人夫婦よるテロらしい、と判明。
カティヤの目撃談から、犯人女性が逮捕され、裁判となりますが・・・。
相手の弁護士が憎らしくも有能ではありました・・・。
結局証拠不十分となり・・・。
最愛の家族を亡くし、生きる意味を見失ってしまったカティヤ。
その彼女が下した決断とは・・・?
彼女らしくはありますが、あまりにも衝撃的結末に言葉を失いました。
カティヤは腹部になんと日本の武士の絵姿のタトゥーを入れていたのですが、
考えてみるとそのことは、この結末を暗示していたのかもしれません。
無差別テロではなくて、人種差別主義者による、トルコ系移民であるがゆえの標的となってしまった夫。
犯人の女には後悔も罪の意識もなく、自分の正当性を疑わない。
こうした現代社会の歪みの中で起こってしまった理不尽な殺戮に対して、
法の力で何もできないとなれば、こんな手段しかないのか・・・。
やはりファティ・アキン監督。
いつも何かしら私の心を揺さぶります。
<シアターキノにて>
「女は二度決断する」
2017年/ドイツ/106分
監督:ファティ・アキン
出演:ダイアン・クルーガー、デニス・モシット、ヨハネス・クリシュ、サミア・シャンクラン、ヌーマン・アチャル
法廷理不尽度★★★★☆
結末の衝撃度★★★★★
満足度★★★★.5