映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

はじまりの街

2018年05月23日 | 映画(は行)

多感な少年の、新たな生活の始まり

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アンナと13歳の息子ヴァレリオは、夫のDVから逃れるため、
ローマから親友カルラが暮らすトリノへ移り住むことになりました。
さっそく仕事を探し始めるアンナ。
ヴァレリオは友だちもできず、一人寂しく過ごす毎日。
本作はこのヴァレリオの視点を基調として、この母子を見守ろうとする人々に支えられながら、
2人が新しい生活を自分のものとしていく様子を描きます。

ヴァレリオは、父が母に暴力を振るっていることを知らないで過ごしていたのです。
はじめてその場を目撃してしまうまでは。
だから、母が父の元を離れて新生活を初めなければならないことは理解している。
けれども、住み慣れた街、親しい友人たちから、突然去らなければならなくなったことに納得はできない。
彼自身は父に暴力を振るわれたことはないので、父親のことを慕う気持ちはある・・・。
様々な思いに囚われ、彼自身どうして良いかわからないのです。
そんなところへヴァレリオあての父の手紙が届くのですが、
アンナはそれを隠していて、それをヴァレリオが見つけてしまうのです。
思いが爆発してしまうヴァレリオ。



ただでさえ多感な年頃、こんな息子の扱いに戸惑ってしまうアンナでもあります。
でもこんな母子に、周りの人々が手を差し伸べていきますね。
決して押し付けがましくなく、おずおずとした距離感で。



こんなふうに見知らぬ街で新しい生活を始めるふたり。
何かしら希望も見えて心温まる作品となりました。
ヴァレリオの初恋めいた部分が語られるのもいいです。
相手は年上の商売女。
遊園地のデートはステキでした。
しかし多くの場合そうであるように、初恋は実らないものですよね・・・。



はじまりの街 [DVD]
マルゲリータ・ブイ,ヴァレリア・ゴリーノ,アンドレア・ピットリーノ,ブリュノ・トデスキーニ,カテリーナ・シェルハ
TCエンタテインメント



<WOWOW視聴にて>
「はじまりの街」
2016年/イタリア・フランス/107分
監督:イバーノ・デ・マッテオ
出演:マルゲリータ・ブイ、バレリア・ゴリノ、アンドレア・ピットリーノ、カテリーナ・シェルハ、ブリュノ・トデスキーニ
少年のナイーブ度★★★★★
満足度★★★★☆