映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

風立ちぬ

2018年05月07日 | 映画(か行)

風立ちぬ。いざ生きめやも・・・

風立ちぬ [Blu-ray]
山口百恵,三浦友和,芦田伸介,河津清三郎
ホリプロ


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山口百恵文芸シリーズの続き、第5弾です。
あれ? 今まで3つ見たから、第4弾ではないの?
第4弾は1976年「エデンの海」というものなんだけど、
これには三浦友和さんが出演していなくて、だからこの度のWOWOWの特集にも入っていなかったわけ。
だから、一つ飛ばして第5弾。
なるほど~

さて、舞台は昭和17年。
軽井沢にある水沢欣吾(芦田伸介)の別荘には、学生たちが集まり賑やかです。
欣吾の一人娘、節子(山口百恵)目当てに来るものもいるようです。
その中のひとり、結城達郎(三浦友和)も密かに節子に思いを寄せています。
その節子に、お見合いの話があるのですが、達郎に想いを寄せている節子は乗り気ではありません。
そのお見合いの日、学生たちはお見合いの邪魔を決行。

節子は達郎に言うんだね。
「この先も、あなたに何度でもお見合いの邪魔をしてほしい・・・」
互いの思いを通じ合わせる2人だけれど、戦局が悪化するその頃、徴兵猶予となっていた学生も、
徴兵の対象になってしまったんだ。
いつ戦争に行って命を落としてもおかしくない自分では、節子に結婚を申し込むこともできないと思う達郎は、
別れを決意するんだね・・・。
しかしそんな時、節子はすでに病に犯されており、次第に衰えていくのでした・・・。


・・・という、いつも君が嫌いだと言っている病気の女の子のストーリーだったね。
でも初めの方で、私はちょっとホッとしてしまった・・・。
何で?
いや、節子も達郎も暮らしは裕福で、とりあえず「貧困」はないからさ・・・。
その発言も問題あるような気がするけど、確かに貧乏は気持ちを惨めにするもんねえ。
とりあえず、貧富の差とか身分の差が障害にならないというだけで、少し救われるんだよ。
でも本作は戦争と病が愛を引き裂くわけで・・・。
最後の方では達郎が療養所の節子にずっと付き添うでしょう?
あれなんかも、お金持ちだからできることだよね・・・。
生活に追われていたら、療養も何もあったものじゃない。
というところで若干反発を覚えたりもするわけで・・・。
貧乏でもダメ、金持ちでもダメ・・・って、めんどくさい人だね、あんた。
へへへ・・・。スミマセン。


風立ちぬ。いざ生きめやも。・・・
私はむしろ、節子が亡くなってしまった後の達郎の心境に、
この言葉が寄り添うような気がする・・・。
愛する人は去ってしまったけれども、それでも自分は生きていかなければならない・・・って感じかな。

 

今、やはりこの物語が古めかしく感じられるのは、
節子の生に、方向性が感じられないせいかもしれないね。
そうだなあ・・・。
彼女の夢は達郎のお嫁さんになることだけだもんね。
今なら、本当は自分でもっとやりたいことがあった・・・というストーリーになるだろうね。
当時はこれが限界かあ・・・。
1976年でも?
まあ、そうなのかも。


<WOWOW視聴にて>
「風立ちぬ」
1976年/日本/94分
原作:堀辰雄
監督:若杉光夫
出演:山口百恵、三浦友和、芦田伸介、森次晃嗣、松平健

純愛度★★★★☆
満足度★★★☆☆