映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

君の名前で僕を呼んで

2018年05月06日 | 映画(か行)

みずみずしくも情熱的な二人の夏

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アカデミー賞脚色賞(ジェームズ・アイボリー)受賞作品。



舞台は1980年代イタリア。
家族とともに北イタリアの避暑地に来ていた17歳少年エリオ(ティモシー・シャラメ)。
そこへ大学教授の父から招かれた大学院生オリヴァー(アーミー・ハマー)がやって来て、
共に一夏を過ごすことになります。
エリオはオリヴァーに特別な思いを抱くようになり、次第に接近してゆく二人の心。
みずみずしくも情熱的な二人の夏が始まります。

もろに同性愛の物語なのですが、こんなにも気色悪さを感じない作品も珍しい・・・。
イケメンで長身、金髪のアメリカ人青年がやって来たその日・・・、
何やらときめきを感じてしまうエリオ。
けれど二人の交流は極めてゆっくりと、おずおずと始まります。
自転車で出かけたり、泳いだり、パーティでダンスをしたり・・・。
ひたすら明るい陽の光と共にあるバカンスの倦怠・・・。
欧米の夏休みは長い!
何しろ舞台は整っています。



オリヴァーを年上の女性と置き換えても、十分ストーリーとしては成り立つのですが、
それよりももっと美しく感じられてしまうのは、その貴重性ゆえか。
異性間なら当然の出来事だけれど、
同性間でこのように互いに求め合うというのはやはり稀ですもんね。



年上のオリヴァーが常にリードする立場で、
彼はそういうことにまっさらなエリオをことさら巻き込まないように、距離を保とうとします。
でも、エリオのほうがそれでは耐えられなかった。
そして、一夜をともにした後に、
オリヴァーのほうが少し臆病な様子を見せるあたりが、なんともステキなのでした。
君の名前で僕を呼んで。
・・・つまりは君は僕で、僕は君である。
一心同体。
こんなふうに思える相手に巡り会えたことこそが奇跡です。



エリオの父親は二人の関係に気付くのですが、そのことを咎めたりはしません。
このような出会いがそう簡単にはない奇跡であることを知っているから。
いやあ・・・ここまで理解ある親って凄い。
実は本作中で一番驚いたところ。
さすが大学教授。リベラル。



なんだかねえ・・・BLってさほど憧れたこともありませんが、
この度ばかりはロマンチックを堪能した感じでした。
この2人がまた美しいですしね・・・。
これがじゃがいもみたいな少年とお腹の出た中年男なら、やっぱり全然見たくないですもんね。
は~・・・。


<ディノスシネマズにて>
「君の名前で僕を呼んで」
2017年/イタリア・フランス・ブラジル・アメリカ/132分
監督:ルカ・グァダニーノ
出演:アーミー・ハマー、ティモシー・シャラメ、マイケル・スタールバーグ、アミラ・カサール
BLロマン度★★★★★
満足度★★★★.5