映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

逃げた女

2022年03月08日 | 映画(な行)

想像しよう

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本作は、ガミという女性が友人の元を訪れ、
何か食べながらひたすらおしゃべりをすると言う作品。
特別に何か大きな出来事がある訳ではありません。
彼女たちの身の回りの事柄を見聞きしながら何を思い、
どんな風に想像を広げるのかは見る人の自由。
何が正解と言うこともないのでしょう、多分。

 

ガミが始めに訪れるのは先輩、ヨンスンの家。
彼女は、離婚して今は友人とルームシェアをして気ままに暮らしています。
でも若干近所の人と不和を抱えている様子。

次に訪れるのが、やはり先輩のスヨンのもと。
独身ですが、今、少し気になる人がいる。
しかし、以前酔ってつい関係を持ってしまった男が
ストーカ-のようになってしまっている。

そして、最後に偶然出会った友人・ウジン。
彼女とはある人を挟んで三角関係になってしまったことがあって、ちょっと気まずい・・・。

これら三人と話すのはとりとめもないことなのですが、
そんな中でガミは必ず今の自分のことをこう言うのです。

「夫とは結婚して5年になるけれど、今まで一度も離れたことがない。
今回、夫が出張になって初めて離ればなれになった。
愛する人とは何があっても一緒にいるべきだ。」

すなわち、夫とはラブラブで、幸せ・・・ということのようなのですが。
あくまでも私個人の想像としては、妻を常に近くにおいて自由にさせない夫。
ガミはそれが息苦しくてもう限界で、家を飛び出してきたのではないか・・・?

そのように想像してしまうというのは、
私の奥底の人生観のようなものが現れてしまっているだけなのかも知れず、
そう思うと、うかつに想像を巡らすのも恐くなってしまいますね。

単に、「女の幸せにも色々あるよ」、ということかもしれないし、
「平和な暮らしの中にも魔が潜んでいる」ということかもしれないし・・・、
あなたなら、どうですか?

私などでも気づく独特なカメラワークが繰り返されますが、
あれは、何なのでしょう。
もしかしたら、とりとめのない会話の中にも、
人によってズームアップ的に興味のひかれる部分があるよね、そうでしょう?
・・・と、言っているのかも。

 

<WOWOW視聴にて>

「逃げた女」

2020年/韓国/77分

監督・脚本:ホン・サンス

出演:キム・ミニ、ソ・ヨンファ、ソン・ソンミ、キム・セビョク、イ・ユンミ

 

日常度★★★★★

想像の余地度★★★★☆

満足度★★★.5