映画と本の『たんぽぽ館』

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タロウのバカ

2022年03月20日 | 映画(た行)

刹那的に生きる少年たち

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刹那的に生きる3人の少年の過激な日常を描きます。

戸籍もなく学校にも通ったことのない少年、タロウ(YOSHI)。
一応母と暮らしていますが、母はネグレクトで、
ほとんど家にいなくて、たまに帰ってくるだけ。
本当は名前もタロウではないのですが、
エージが名前を言わないヤツは「タロウ」だというので、
そのままタロウと呼ばれているのです。

タロウといつもつるんでいるのが高校生のエージ(菅田将暉)とスギオ(仲野太賀)。
特にエージはけんかっ早くて粗暴なため、鼻つまみ者。
しかしこの3人は共にいるとなんとなく心が解放される気がするのです。
スギオとエージにとっては、タロウはむしろ世間とのしがらみが何もなくて
「自由」でうらやましく感じてさえいたのではないでしょうか。

そんな3人なのですが、ある時ヤクザから拳銃を奪い取ったことから、
彼らの世界が、よりささくれ立っていく・・・。

銃を持つ前までは、単にはみ出しものの少年たちだった。
けれど、彼らは持つべきではない「力」を持ってしまった。
銃を取り戻そうとするヤクザたちに付け狙われるのも、いかにも不穏です。

これまでは騒いで乱暴を働いて鬱憤を晴らすことができればそれで良かった。
でも、銃を持てば、なんだってできる。
本当はそうではないのだけれど、そんな気がしてきてしまうのですね。
あげくには暴走して、自滅していく他ありません。
苦しいなあ・・・。

タロウを演じたYOSHIくんは、モデルで本作が俳優デビューとのこと。
菅田将暉さんと仲野太賀さんという名優に引けをとらない存在感でした。

そしてさすが、菅田将暉さん、仲野太賀さんはどんな役もこなしますねえ・・・。
ほんと、今後もたっぷり楽しませてもらえそうです。
せいぜい長生きして、見届けよ。

<WOWOW視聴にて>

「タロウのバカ」

2019年/日本/119分

監督・脚本:大森立嗣

出演:YOSHI、菅田将暉、仲野太賀、奥野瑛太、植田紗々

暴力度★★★★★

満足度★★★.5