国を動かすような位置にある人は、戦争を悪と考えていない。
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印象派展に向かう途中のバスで、バスジャックに巻き込まれた
久能整(くのう・ととのう)。
犯人の脅しにもひるむことなく、マイペースな発言を繰り返して
バスジャック犯を引っかき回したものの、
ほかの乗客たちと、犯人宅に”招待”されてしまい・・・!?
天然パーマの大学生・整が、思いがけない展開を導き出す新感覚ストーリー!!
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「ミステリと言う勿れ」第2巻。
バスジャックから始まるエピソードの顛末は、ドラマで見て分かっていたので、
意外性を楽しめなかったのが残念ではありますが、
この中で私が一番好きな整くんのセリフ。
「どうしていじめられてる方が逃げなきゃならないんでしょう。
欧米の一部では、いじめてる方を病んでると判断するそうです。
いじめなきゃいられないほど病んでる。
だから隔離してカウンセリングを受けさせて癒すべきと考える。
(中略)
病んでたり、迷惑だったり、恥ずかしくて問題があるのは、いじめてる方」
私も、常々思ってはいたのです。
いじめる側の人は、きっと満たされない何かがあるのだろう、と。
そんなモヤモヤを、見事にきちんと言葉にしてくれたなあ・・・!!
そして、こんな言葉もありましたよ。
「戦争を『悪』と考えてるのは、一部の一般の人たちと、
先の大戦で被害を受けた人たちだけです。
国を動かすような位置にいるほとんどの人がそうは思ってない。
それを必要とする人が多いうちは決してなくならない。」
非常に冷めた整くんの意見ですが、
私は今、自分の脳天気さを思い知った気がしているのです。
平和は当たり前にあるものだと思っていた。
でもそうじゃなくて、ある日突然よその国が攻め入って来ることが本当にある。
それを目の当たりにしたわけで。
冷めた整くんの意見が正しいのが辛い。
さて、私はテレビドラマは原作通りに進行していると思っていたのですが、
そうではなかったようです。
本巻のエピソード3では、整くんが広島へ行った時のことが描かれています。
東京での「印象派展」を見逃してしまった整くんが、広島での展示を見に行くのです。
そこでまたいろいろなことに巻き込まれてしまう。
このストーリーはテレビドラマにはなかったですね。
だからやっぱり、原作コミックを読んで良かった!
「ミステリと言う勿れ 2」田村由美 フラワーコミックスα
満足度★★★★☆