映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「ミステリと言う勿れ 1」田村由美

2022年03月04日 | コミックス

一般的に常識と思われていることを裏返してゆく

 

 

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解決解読青年・久能 整、颯爽登場の第一巻!!
冬のある、カレー日和。
アパートの部屋で大学生・整がタマネギをザク切りしていると・・・
警察官がやってきて・・・!?
突然任意同行された整に、近隣で起こった殺人事件の容疑がかけられる。
しかもその被害者は、整の同級生で・・・。
次々に容疑を裏付ける証拠を突きつけられた整はいったいどうなる・・・???

新感覚ストーリー「ミステリと言う勿れ」、注目の第一巻です!!

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月9のテレビドラマで絶賛放送中の本作。
私はすっかり気に入ってしまったので、原作本を手に取りました。
常日頃、コミックが原作のテレビドラマで気に入ったものがあっても、
原作を買おうとまで思うことはほとんどありません。
でも本作に限っては、整くんの「語り」を
もっとじっくり何度も味わいたい・・・という思いが強かったのです。

 

何しろ、始めのエピソードからものすごいインパクトです。
調度この一冊が、テレビドラマ第一回分となっていました。

 

ある日突然、主人公の大学生・久能整(くのうととのう)が、
殺人容疑をかけられて警察に任意同行されてしまうのです。
が、事情聴取される整くんが、
警察署内の人々のちょっとした悩みに答えてしまうという意外な展開。
そしてそんな中で見聞きする事件のあらましの中から、
彼は真犯人を突き止めてしまう・・・!
しかも真犯人は、ミステリではタブーの、あの・・・。

あえてネタばらしは避けますが、
一般的にミステリの組み立ての中ではタブーとされる犯人像を持ってきたあたりで、
「これはミステリではありませんよ・・・」と宣言した題名なのも
ステキだと思いました。
そうなのです。
ミステリ要素を持ちながら、本作は「ミステリ」ではないのでしょう。
本巻のあとがき的ページの中で、著者は、
これは「整がただただしゃべりまくる話です。」
と言っています。
舞台劇のようなイメージであるとのこと。

確かに。
そのしゃべりがメイン。
けれどストーリーの意外性もまた、素晴らしく光っています。
大好きです。

現在10巻まで出ているのですが、私はあえてまとめて大人買いせず、
月に1冊ずつくらいにして、じっくり読んでいこうと思います。
(先のストーリーはドラマでわかっているので慌てることはないですもんね。)

 

そしてドラマについては、いわゆる「常識」的な事柄を裏返していく、
訥々とした整くんの語りが心地よい。
菅田将暉さんのキャスティングもナイスです。
そしてこの長台詞をよくぞものにしてくれました。
菅田将暉さん、ありがとう!!

 

「ミステリと言う勿れ 1」田村由美 フラワーコミックスα

満足度★★★★★