研究に生きた人
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1903年にノーベル物理学賞、1911年に同化学賞を受賞し、
女性として唯一2度のノーベル賞受賞を果たしたキュリー夫人のストーリーです。
19世紀のパリ。
ポーランド出身の女性研究者、マリ・スクウォドフスカ(ロザムンド・パイク)は、
女性というだけでろくな研究の機会を与えられません。
そんな彼女が、彼女の研究を理解する科学者・ピエール・キュリーと出会い結婚。
夫の支援で研究に没頭します。
やがて、ラジウムとポロニウムという新しい元素を発見。
夫婦でノーベル賞を受賞します。
しかしその後、ピエールは若くして他界。
マリはその喪失感から過ちを犯し、世間からバッシングを受けてしまいます。
また、研究中の被曝で、体調も思わしくない・・・。
ラジウムや放射線に関する研究はまさに、人類史上画期的なことです。
マリがラジウムを発見した頃には、当然放射能のことなど分かっていなかったわけですが、
次第にそれが健康に害をおよぼすものだということが分かってきます。
でもまた、ガンの治療に有効であるということも。
作中では、時をも超越して、放射線の功罪に関わる映像が挿入されていきます。
第一次大戦の戦地に、移動式のレントゲン装置を導入し、
負傷した手足を切断せずにすむケースを見極められるようになったこと。
ガンの治療。
広島への原爆投下。
原子力発電所の事故・・・。
先日見た「Winny」のことを思い出してしまいました。
放射線による被害は多くあるけれど、悪いのはその使用方法であって、
決してそれを発見したキュリー夫人ではない、ということで。
まあ実際には、彼女が発見しなくても、
いずれは別の誰かが見つけ出していたでしょう。
しかし、自分の研究対象が自分の命を縮めるという皮肉。
こんな運命をたどった研究者も多くはないのでは・・・。
それにしても、いつまでも「キュリー夫人」呼ばわりはいただけないのでは。
きちんとマリ・キュリーと呼ぶべきですね。
<WOWOW視聴にて>
「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」
2019年/イギリス/110分
監督:マルジャン・ザトラピ
出演:ロザムンド・パイク、サム・ライリー、アナイリン・バーナード、アニヤ・テイラー=ジョイ
歴史発掘度★★★★☆
スキャンダル度★★★★☆
満足度★★★.5