夢をかなえることだけが正しいのか
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デンマークの農村。
幼い頃に両親を亡くし、体の不自由な叔父と二人で暮らす27歳クリス。
家業の酪農の仕事を手伝いながら、日々を穏やかに淡々と過ごしています。
彼女には獣医になりたいという夢があったのですが、
今はそれもあきらめきっています。
そんな時に村の獣医師から助手を頼まれ、かつての夢が蘇ってきます。
またそんな頃、クリスは教会で出会った青年・マイクからデートに誘われます。
クリスにとっては、人生の転機の時なのですが・・・。
クリスは叔父さんが病で倒れたため、獣医の夢をあきらめていたのですね。
叔父さんとクリスは特別に言葉を交わさずとも日々の日課はしっかり染み込んでいて、
実に淡々と牛の世話や農作業、日々の食事などの時間が流れていきます。
叔父さんは、クリスがこの家で自分の世話と酪農の仕事に縛られてしまっていることに
若干後ろめたい思いもあるようで・・・。
だから、獣医師の手伝いを始めたり、村の青年と付き合い始めても止めたりはしません。
初めてのデートに行くというクリスにヘアアイロンを買ってあげたりと、応援の体制。
ところが、クリスは叔父さんを1人で家に残しておくのが心配でならない。
だから、初デートの食事も、映画も、叔父さんと一緒の3人で、
というのがなんともユーモラスな光景で、笑ってしまいます。
こんな感じで、本作は一人の女性が、新たな世界へ羽ばたいていく物語なのかと思いきや・・・!
意外な結末に、戸惑わされてしまいました・・・。
しばらくしてから、私は思う。
確かにクリスには獣医になりたいという夢はあったけれど、
でも実はここの農場で牛たちの世話をしながら暮らす生活も
身に馴染んで好きになっていたのでは・・・?
夢をあきらめるというよりもむしろ、自分の本当にやりたいことはこの足下にあった、
という気づきなのかも知れない、と。
デンマークの片隅、テレビで北朝鮮のミサイル発射がニュースで流れていたり、
クリスが都会に行って初めての「回転寿司」を体験するなど、
北欧の地にも東洋や日本の事情が意外と身近にあるのが興味深かった・・・。
<Amazon prime videoにて>
「わたしの叔父さん」
2019年/デンマーク/110分
監督・脚本:フラレ・ピーダセン
出演:イェデ・スナゴー、ペータ・ハンセン・テューセン、オーレ・キャスパセン、トゥーエ・フリスク・ピーダセン
農村の生活度★★★★★
女性の人生度★★★★☆
満足度★★★.5