映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

2023年11月28日 | 映画(か行)

ぶっ飛び本能寺の変

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お待ちかね、北野武監督最新作。

天下統一を目指す織田信長(加瀬亮)。
毛利、武田、上杉や京都の寺社勢力と攻防を繰り広げています。

そんな時、配下の荒木村重(遠藤憲一)が謀反を起こし、あげくに逃走。
信長は、光秀(西島秀俊)、秀吉(ビートたけし)たち家臣に
自身の跡目相続をエサに、村重の捜索を命じます。
秀吉はこの騒動に乗じて信長と光秀を陥れ、自ら天下を取ろうと狙っていて・・・。

ということで、戦国時代のドラマとしては最も見所とも言える
本能寺の変までを描きます。

北野武監督構想30年と言われる本作。
実は脚本は確かに30年前に書いたけれど、ほったらかしにしていて、
30年ずっと考えていたわけではない、と
TV番組のインタビューではおっしゃっていましたが・・・。

おなじみの歴史的人物たちですが、何しろ北野作品なのでとにかくぶっ飛んでいます。
なかでも、名古屋弁の暴君信長の迫力。
恐いですねー。
普段物静かな役が多い加瀬亮さんをあえて充てたそうで。
でも確かに信長はこんな感じの人物だったのかも・・・と思えてきます。
秀吉は人でなしだし、家康は食えないタヌキ。
そうでなければ、戦国時代は生き抜けません。

そしてまた本作の大きな特徴は、これら登場人物らの妖しい関係。
衆道は武士の間では一般的だったといわれますが、
でも確かにこれは、30年前に映像化することは難しかったのではないでしょうか。

今は美少年でなくおじさん同士であっても、
色々とドラマ化もされ、世間の認知も得ていて、
さほど眉をひそめるようなことでもなくなっている・・・
ということで、満を持しての映画化であるのかも。

肝心の信長最期のシーンがまた驚きですが、
一瞬の出来事なのでお見逃しなきよう。

血みどろで首が飛びまくる本作。
残酷もここまで振り切ると、おかしみになってきます。
北野監督、また一つの代表作となりますね。

<シネマフロンティアにて>

「首」2023年/日本/131分

監督・原作・脚本:北野武

出演:ビートたけし、西島秀俊、加瀬亮、中村獅童、木村祐一、遠藤憲一、
   大森南朋、浅野忠信、小林薫、副島淳

 

歴史解釈の自由度★★★★★

残酷度★★★★☆

満足度★★★★☆