映画と本の『たんぽぽ館』

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武曲 MUKOKU

2018年03月18日 | 映画(ま行)

剣の道をたどろうとするものの宿命

 

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谷田部研吾(綾野剛)は、幼い頃から剣道の達人である父親(小林薫)から、
剣の道を鍛えられていました。
しかし、父と息子が同じ道を歩もうとすれば、必ず軋轢が起こるものです。
ある時二人が対決し、父のほうが致命的な傷を負ってしまいます。
その後、剣道はもちろん、生きる意欲もなくした研吾は
酒浸りで自堕落な日々を送っています。
父の友人で研吾のもう一人の師匠でもある光邑和尚(柄本明)は、
天性の剣道の才能を持つ高校生・融(村上虹郎)を、研吾のもとに送り込みますが・・・。

父と息子の相克。
時には命がけで闘わなければならないことがあります。
そういうものなのです。
互いの目指すものへの思いが本気であればあるほど。
そこを、妻であり母親である存在が緩衝材として存在していたのですが、
早くに亡くなってしまうのです。
いよいよ二人の関係は悪化していく。
これはもう、定石のようなもの。



本作で光っているのは、そこにもう一人、
同じく「剣の道」をたどろうとする少年が登場すること。
彼は剣道などやったこともなく、ラップのリリックを書くのが楽しみ、という少年でした。
しかし、研吾の剣を見た融は、剣の道の虜になってしまうのです。
メキメキと上達し力をつけていく融は、
これもまたいずれ研吾との対決を避けては通れない・・・。

男の世界ですねえ~。
強くて、美しい。
村上虹郎さんがなんといってもステキでした。
若くて、真っ直ぐで、破天荒で、しなやか。
今後が楽しみな方の一人。
もちろん、綾野剛さんもいいですよ~。
あの筋肉のつき方、いいわあ・・・。
ダメ男ぶりもいいですが、きりりとしたところもいい。
コウノドリ先生みたいにいかにも優しい感じより、私はこっちのほうがいいなあ。



木刀で、いかにも真剣勝負的な場面もいいのですが、
本作のラストは、きちんとした剣道の試合開始直前のシーンでした。
この所作がとても美しい。
これもまた日本の伝統美。



武曲 MUKOKU 2枚組 [DVD]
綾野 剛,村上虹郎,前田敦子,小林 薫,柄本 明
TCエンタテインメント



<J-COMオンデマンドにて>
2017年/日本/125分
監督:熊切和嘉
原作:藤沢周
出演:綾野剛、村上虹郎、小林薫、柄本明、風吹ジュン、前田敦子
剣の道度★★★★☆
父と子の相克度★★★★★
満足度★★★.5



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