ウソの重さ
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トニー賞、グラミー賞等授賞に輝くブロードウェイミュージカルの映画化です。
ミュージカルとはいえ、すべてが楽曲ではなく通常のセリフも多いので、
ミュージカルが苦手という方も馴染みやすいかも知れません。
内気で人付き合いが苦手で友だちもいない高校生のエヴァン・ハンセン(ベン・プラット)。
シングルマザーのため仕事で不在がちの母ともあまりうまくいっていません。
そんな彼がセラピストの助言により
「ディア・エヴァン・ハンセン」と始まる自分への手紙を書き始めます。
ところがある日、その手紙を同級生のコナーに持ち去られてしまいます。
コナーは変人のワルとウワサされていて、彼もいつも一人でいるのでしたが、
その後自ら命を絶ってしまうのです。
コナーが持っていたエヴァンの手紙を両親が見つけて、
息子とエヴァンが親友同士だったと思い込み、エヴァンを家に招待します。
エヴァンは両親を落胆させたくなくて、話を合わせ、
ありもしないコナーとの想い出を語り始めます・・・。
それだけならばこのウソもあながち悪いことではないのかもしれない。
けれど、この話はSNSで校内のみならず世界中に広まってしまいます。
特に、コナーの妹とはこのことで交流も深まり、
エヴァンは彼女に好意を抱くようになりますが、
そもそもがウソから始まった付き合いなのです。
エヴァンは次第に自分のウソの重みに押し潰れそうになって・・・。
なんとも重苦しいテーマ。
通常ミュージカルに向くとは思われないのですが、
意外と曲調は重くなりすぎず、静かに語りかけるようです。
アメリカの高校生といえば常にイケイケドンドンっぽいけれど、
やはりこんな風に内向的で人となじめない子も多いのでしょうね。
ウソがどんどん雪だるまのように肥大して、余計に引き返せなくなってしまう。
それを断ち切るにはとてつもない勇気が必要です。
けれど今後自分が生きていくためには乗り越えなければならいこと・・・。
そんな勇気はどうすれば、どこから出てくるのだろう・・・。
私たちは息を潜めて見守るほかありません。
エヴァンの母にジュリアン・ムーア、
コナーの母にエイミー・アダムスが当たり、
ガッチリと固めています。
<WOWOW視聴にて>
「ディア・エヴァン・ハンセン」
2021年/アメリカ/138分
監督:スティーブン・チョボウスキー
出演:ベン・プラット、ジュリアン・ムーア、ケイトリン・デバー、
エイミー・アダムス、コルトン・ライアン、ニック・ドダーニ
ウソの重圧度★★★★★
生きづらさ度★★★★☆
満足度★★★.5
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