映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

町田くんの世界

2019年06月14日 | 映画(ま行)

クラスに一人、いてほしい町田くん

* * * * * * * * * *

運動も勉強も苦手、見た目も地味な高校生、町田くん(細田佳央太)。
彼は困った人を助け、接した人々の心を癒やします。
必死で頑張ってそうしているのではない。
彼にとってはそれが自然体なのです。
そんな彼の前に現れた猪原さん(関水渚)は、孤独で周囲と馴染めずにいたのですが、
町田くんと関わるうちに、心を開いていきます。
町田くんはそんな彼女に、自分でも「わからない」感情が湧き上がり・・・。

町田くんにしても、猪原さんにしても、
今どきこんなにウブで純情でまっすぐな高校生なんてありえないー!
と思ってしまうのですが、確かにその通り。
これはラブコメというよりも、ある種のファンタジーなのでした。



こんな思いやりに満ちた町田くん、そりゃあ誰だって好きになりますよ。
これで彼が成績優秀だったりスポーツ万能だったり、
はたまた、泣く子も黙るイケメンだったりしたら、ものすごくイヤミになるところです。
でもいかにもおっとりしていて、どんくさかったりすらするのがまた好感度高いですよね。
彼と関わった友人たちは皆彼のファンになって、彼が困っていたらすぐに助けようとします。
クラスに一人、我が家にも一人いてほしい、町田くん。



さてところが、こんな町田くんに恋する女の子がいたとしたらどうでしょう。
誰にでも優しくて親切な町田くん。
果たして自分に向けられた優しさや親切は、彼の好意の現れなのや否や・・・、
悩んでしまいますよね。
誰にでも優しいのは嬉しいけれど、やはりただ一人特別な存在でいたい・・・。
そしてまた、恋という感情に全くウブな町田くんは、自分の感情にも気づけないでいます。
全くヤキモキする純情な二人・・・。



虐待だの無差別殺人だの、気持ちの落ち込む事件ばかりが報道される昨今ですが、
こんなふうな「善なるもの」だって確かに存在するはず。
そう信じたくなりますね。

主役二人は、初々しい新人を起用。
そしてその友人たちを岩田剛典さん、高畑充希さん、太賀さん、前田敦子さんがしっかり固めています。

しかしこの人達が高校生の役なんて、いいのだろうかと思ってしまいますが、
実際に作中で見るとさほど違和感はありませんでした・・・。
特に、冷めた目線と口調の前田敦子さんがナイス。
しっかりこの二人を見守るおねーさまでした。
(同級生なんですけど・・・)


<シネマフロンティアにて>
「町田くんの世界」
2019年/日本/120分
監督:石井裕也
原作:安藤ゆき
出演:細田佳央太、関水渚、岩田剛典、高畑充希、前田敦子、太賀、池松壮亮
純情度★★★★★
善良度★★★★★
満足度★★★★☆



最新の画像もっと見る

コメントを投稿