シャドウ (創元推理文庫)道尾 秀介東京創元社このアイテムの詳細を見る |
この物語には二組の家族が登場します。
小学5年生、凰介とその父母。
父母同士が友人関係であるため、幼馴染の同じく小学5年生、亜紀。
ところがこれは並みのホームドラマには発展しません。
まずは凰介の母の葬儀から、物語は始まります。
凰介は大学病院職員の父との二人暮らしになるわけです。
メガネをかけて、腕力はへなへなっぽい凰介ですが、
この子がなかなかしっかりしている。
母が病床にあったためと思われますが、
きちんと家事も手伝うし、父の心配もできるあたり、いいですよね。
一方、亜紀は両親健在ながら、全くの不仲。
そして何か重大な悩みがあるようです。
この二人の父親が携わっているのは精神科。
それで、ストーリーはなにやら心の奥に潜む病がテーマとなっていきます。
凰介が時々見る幻影は・・・
亜紀の抱える秘密とは・・・
凰介の父は、異常者なのか・・・?
亜紀の母の自殺の秘密は・・・?
亜紀の父もまた、異常者・・・?
そして背後に潜む、本当の異常者とは・・・・?
誰も彼もが病んでいるように見える、この混沌に、
しっかりとした明かりが差し込んできます。
陰惨なテーマでありながら、前向きな凰介君の存在に救われる感じです。
私、どうもこのように前向きに頑張る少年少女の話に弱いのですよね。
読みながら、作者の術中にはまり、騙されてしまうあたりも痛快です。
第7回本格ミステリ大賞受賞。
なるほど、納得でした。
満足度★★★★★
今年も残り少なくなりました。
この『シャドウ』を読む前に、『向日葵の咲かない夏』を読むようにと勧められました。しかし、『向日葵の…』は一向に進まず、中断して半年以上…。
たんぽぽ様の記事を読んで、こちらの作品が読みたくなりました。その前に『向日葵の…』を読まないと…。
12月は、各ミステリーのベスト10などが発表される月ですが、何かと慌ただしく、読みたい気持ちだけが一杯になって一向に本は読み進められません。
「クリスマスにふさわしい作品を探しておけばよかった」と毎年クリスマスを迎えてから思うのでした。
こちらは、ついこの間まで雪がなかったのですが、今はちゃんとホワイトクリスマスです。雪はそんなに多くありませんが。
大通り公園などは、イルミネーションがきれいで、ロマンチックですよ~。
まあ、こんなところは恋人と歩くべきですが(^_^;
「向日葵の…」との関連は私も聞いていましたが、無視してこちらを先に読んでしまいました。
逆に読んだらどうなのか?
そのうち、「向日葵…」に挑戦してみますね。
私は「このミス」のファンです。お正月の読書は結構これを参考にしますね。
でもどんなに上位のものでも、やっぱり好みはありますね。
今年の一位は「新参者」。うん。これは本当に同意できます!