現代の子育て事情は苦しすぎ・・・
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小さな会計事務所で働く鶴峯裕は同い年の妻・志保と共働き。
四歳の長女・莉枝未ともうすぐ二歳になる長男・琉大を保育園に預け、
バタバタの日々を過ごしている。
そんな鶴峯家に、ママ友、パパ友から子育てにまつわる難題と謎が押し寄せる!
そして事件はとうとう鶴峯家にも―。
裕は数々の謎を解き、育児の問題も解決して、家族の幸せを守れるのか!?
家族を守る新米騎士が育児と謎解きに悪戦苦闘!
現代を代表する家族小説×ミステリー!
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辻村深月さんの、子育てミステリ(?)
ミステリというよりも、現代の子育てにまつわる問題てんこ盛り。
そこに日常の謎的ミステリがスパイスを効かせます。
裕は、4歳の長女とまもなく2歳の長男を保育園に預けながら、妻・志保と共働きをしています。
クローバーナイトとは、4人家族を四つ葉のクローバーにたとえ、
この家族を守る騎士(ナイト)が裕であるとしているのです。
つまり、裕はイクメンなのであります。
保育園の送り迎えはもちろん、普段の子どもの世話だって当たり前にこなします。
いまは、こういう男性も多いのでしょうけれど、
私のような世代では実にウラヤマシイ!!
さてしかし、私は本作を読んで、つらくなってしまいました。
保育園に入所するまでの過酷な“ホカツ”、
幼稚園や小学校のお受験、
お誕生会、ママ友のお付き合い・・・
読むだけでも胃が痛くなってきそうです。
こんなものを読んだら若い人はますます子どもを持ちたいと思わなくなり、
少子化が加速しそうです・・・。
私の子育て期はこんなでなくてよかった、
そして東京でなくてよかった・・・と、しみじみ思ってしまいました。
子どもにも、その親にも、もっと優しい世の中であればいいのに。
けれど、本作は夫婦の協力体制でしっかり子どもたちを守り育てている、
そんな姿はやっぱりいいな、と思いました。
そこが救いの物語。
この家族の周りの人々の悩み中心に話が進むのですが、
いよいよ最後にはこの家族自体に難題が降りかかります。
もしや妻の浮気?と思えたことが、実はそうではなく・・・。
母と娘の相克。
いってみればこれも「グレートマザー」のことか。
そうしたテーマに潜り込んでいくところがさすが辻村深月さんですね!
「クローバーナイト」辻村深月 光文社文庫
満足度★★★.5
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