未来を予見する教師は、世界を救えるか?
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中学教師の檀は、猫を愛する妙な二人組の小説原稿を生徒から渡される。
さらに他人の未来を観る力を持つことから謎の集団とも関わり始め……。
苦い過去を乗り越えて檀先生は、世界を、自分を救えるのか!?
毎ページすべてが楽しく愛おしい、一大エンターテイメント!
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まずは本作の主人公、檀先生の秘密をお教えしましょう。
檀先生(高校教師)は、人の「翌日」を見ることができるのです。
それは直接会って話をするなど、その人の「飛沫」をあびなくてはならないなど
いろいろな制約があって、しかも自分自身の明日は見ることができません。
この力で、恐ろしい事故や災害を予見することはできるのですが、
だからといってそう簡単に人々は救えない。
あなたは明日事故に遭いますよ、と言って信じる人はどれだけいるでしょう。
檀先生は、せっかくの力もなんの役にも立たないことを悔しく思っているのです。
そんなある日、彼の教え子のお父さんが、
とある場所に監禁されることを知ってしまい・・・。
さてこれが本作のメインストーリーの始まりですが、
もう一つ、別のストーリーが挿入されていきます。
それは、檀先生の教え子の1人である布藤鞠子が描く小説。
鞠子は書き上がった原稿を檀先生に読ませるために持ってくるのですが、
その内容がそのままストーリーに少しずつ挿入されているのです。
それは猫を虐待する者に復讐することを仕事としている2人組、
ロシアンブルとアメショー。
この2人が
「自分たちは実は、誰かの小説の中の登場人物に過ぎないのではないか?」
などという会話を交わします。
そしてなんと、檀先生の現実の中に、この2人がそのまま登場。
なんともやられますね。
洒落た会話と伏線。
これぞ小説の妙。
だから伊坂幸太郎さんの本はやめられない。
「ペッパーズ・ゴースト」伊坂幸太郎 朝日文庫
満足度★★★★★
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