情念に生きる
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モダニズムを代表する画家のひとり、
フィンランドの画家、ヘレン・シャルフベックを描く伝記映画です。
1915年。
高齢の母と共に田舎で暮らす画家、ヘレン・シャルフベック53歳。
画家としては、世間からは忘れられた存在ながら、
当人は情熱を失わず絵を描き続けています。
そんなある日、ある画商が訪ねて来て大きな個展を開催する話が持ち上がります。
そしてその個展でヘレンは再評価され、瞬く間に時の人に。
そしてまたヘレンは、画商が紹介した19歳年下の青年エイナル・ロイターと出会います。
まあ当然、作中にヘレン・シャルフベックの絵がいくつも紹介されますが、多くは人物画。
自画像も多いです。
写実的なモノではなくて、かといってピカソほど抽象的なモノでもない。
私的には好きな絵です。
絵がほとんど売れなくても、自分のやり方を信じ何枚も何枚も描き続ける情熱。
これは続けられること自体が才能かもしれません。
さてしかし、本作で中心になるのはヘレンが19歳年下の青年エイナルに向ける愛情。
彼は無邪気に(といっても30過ぎではあるけれど・・・)ヘレンに好意を向け、
画家としても尊敬しています。
若い肉体は美しくたくましい・・・。
ヘレンはそんな彼に魅せられて欲してしまいます。
でも自分の年齢を考えるとそのようなことは言えない・・・。
触れたい、抱きしめたい・・・。
そんな思いばかりが募っていきます。
エイナルも画家志望ではあるので、ヘレンはエイナルを留学に送り出すのですが、
ある時届いた手紙に打ちのめされるのです。
そこには、彼が18歳の女性と婚約した、とあるのでした・・・。
エイナルはおそらくヘレンの気持ちには気づいていたはず。
それなのに・・・。
おばちゃんだっていくつになっても、人を好きになる情熱くらい残っていますともさ。
うん。
けれどこの情念こそが、彼女の絵のエネルギーとなったのかも知れません。
なんとも切なくもあるストーリー。
<Amazon prime videoにて>
「魂のまなざし」
2020年/フィンランド、エストニア/122分
監督:アンディ・J・ヨキネン
原作:ラーケル・リエフ
出演:ラウラ・ピルシ、ヨハンネス・ホロパイネン、クリスタ・コソネン、ピルッコ・サイシオ
失われない情念度★★★★☆
芸術度★★★★★
満足度★★★★☆
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