映画と本の『たんぽぽ館』

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子供はわかってあげない

2022年09月11日 | 映画(か行)

人から習って覚えたことは、人に教えることができる

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田島列島さん同名コミックの実写映画化。

本作、冒頭アニメから始まりまして、
「この作品ってアニメたっだっけ?」と思ってしまいましたが、
いえ、これは本作主人公・美波(上白石萌歌)が見ている大好きなアニメそのものなのでした。
美波はある日、同じくこのアニメが大好きだという門司くん(細田佳央太)と知り合い、親しくなります。

美波の父は幼い頃行方不明となっていて、
今は母(斉藤由貴)と新たな父(古舘寬治)、そして弟と、並以上に仲の良い家族。



でも、美波の元に「謎のお札」が届き、
それが実の父から送られたらしいと知った美波は、父の行方を探そうと思います。
門司くんの兄(千葉雄大)の協力により、あっさりと父の居所がわかり、
美波は家族に内緒で父(豊田悦司)の元を訪ねることに・・・。

その父はなんと新興宗教の教祖。
でも今は休業中だと言って、海辺の町に住んでおり、
近所の整体の仕事を手伝っています。
水泳部の合宿に行くと偽ってきた美波は、しばらくここに滞在して、いつにない夏を過ごすのです。

幼い頃に別れたきりの父との関係はどうにも気まずく、ギクシャクしていましたが、
次第に言葉を交わし、互いのこれまでのことを知るように。
隣の家の小学生の女の子が、二人の仲を取り持つようで、なかなかナイスな存在。
美波は彼女と父に泳ぎを教えることにします。

書道家の父を持つ門司くんが言っていたのです。
「人から習って覚えたことは、人に教えることができる」と。

実の父を訪ねてきた高校生女子のストーリーといったら、
もっと重苦しいかウエットかになりそうですが、
本作は全然そんなことがなく、美波は軽やかで全体の雰囲気もユーモラス。

それでも確かにこの夏、美波は一つ階段を上ったし、
父も何やら漂っていた行き所のなさから救われたような・・・。

 

緊張が高まると笑ってしまうという美波が、門司くんに告白しようとすると、
笑ってしまって言葉にならない。
そんなラストの二人のシーンがなんともステキでした。

上白石萌歌さんは、病弱で大人しくていい子の朝ドラ「歌子」よりもずーっと魅力的でした。

 

<WOWOW視聴にて>

「子供はわかってあげない」

2021年/日本/138分

監督:沖田修一

原作:田島列島

出演:上白石萌歌、細田佳央太、千葉雄大、古舘寬治、斉藤由貴、豊川悦司

 

ユニーク度★★★★★

青春度★★★★☆

満足度★★★★.5



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