映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「玉子 ふわふわ」 早川茉莉編

2011年05月17日 | 本(その他)
卵焼き、ゆで卵、目玉焼き、オムレツ・・・

玉子ふわふわ (ちくま文庫)
早川 茉莉
筑摩書房


              * * * * * * * *

この本は、玉子にまつわるエッセイを集めたアンソロジー。
古今37人の作家が集められています。
住井すゑ、林芙美子、池波正太郎、
東海林さだお、伊丹十三、池田満寿夫、
田辺聖子、松浦弥太郎、宇江佐真理、
などなど・・・。


卵料理にはいろいろあります。
卵焼き、ゆで卵、目玉焼き、オムレツ・・・。
かの美食家、北大路魯山人氏からは、茶碗蒸しの文章が選ばれていますよ。
茶碗蒸しは卵をけちって、だしを多くして、
うんと柔らかく作らなくてはいけないと。
それぞれの方が、それぞれの料理の仕方にこだわりがあり、
またそこから様々な思い出がわき出てくる。
玉子一つ特に高価なものではありません。
誰もが好きで、日常的で、生活に馴染んでいます。
とてもユニークな企画ですね。
ところで、どの方も好きといっているのは、
玉子かけご飯のようです。
これは日本独特ですが、確かに玉子かけご飯、
"あ~、日本人に生まれて良かった"
と思ってしまう食べ物の一つです。


私が好きで、よく作るのは、チーズオムレツ。
卵にピザなどで使うシュレッドチーズをよく混ぜ合わせて、
塩コショウして焼き上げます。
チーズが固まってしまわないよう、熱々の内に召し上がれ!


ところでこの本の題名で思い出されるのは、
宇江佐真理さんの「卵のふわふわ」という小説なのです。
そうしたらやっぱり、巻末はこの宇江佐真理さんの小説の一節が載っているのでした。
どうしてもうまくいかなかった夫と、
ほんの少し心が通い合う気のする妻の心を描写する大事な一節。
実は、私が初めて宇江佐真理さんを読んだのがこの本。
それですっかりファンになってしまったという思い出の作品。
この本の題名も、ここから連想を得てつけたのに違いありません。
そうご馳走というわけでもない。
けれども食べると何だかほっとする。
いいものですね。卵料理。


そして、あらためて気づかされたのは、卵の形の美しさ。
卵は何かの拍子にころころと転がっても
ぐるっと大きく円を描いて、元の位置に転がってくるようにできているのだそうです。
滑らかで、強くて、やさしくて、美しい。
奇跡の様な形。
この本を読むと、やたらと卵が食べたくなってしまいます。
今晩は卵料理にしよう・・・。

「玉子 ふわふわ」 早川茉莉編 ちくま文庫
満足度★★★☆☆


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