なぜ被害者が非難される・・・?
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お草の営む「小蔵屋」の頼れる店員・久実。
なぜか男っ気のない久実にもついに春が…?
浮き立つ店に、元アイドルの女性が店の敷地内で暴行を受けたという衝撃のニュースが飛び込んでくる。
容疑者は地元名士の息子。
そして、暴行現場で拾った「あるもの」がお草と久実を悩ませることになる。
心に勇気の火を灯す人気シリーズ第7弾。
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おなじみ吉永南央さん、お草さんのストーリー。
第7弾・・・?
私、読んでいたつもりですが、全部は読んでいなかったかもしれません。
でもまあ、少なくともこの度は、差し支えはありませんでした。
本巻のテーマは、女性への性的暴行のこと。
顔なじみの、元アイドルの女性が小蔵屋の駐車場で暴行を受けるという事件が発生。
彼女は意を決して警察へ届け出たのですが、
逆にSNSや週刊誌で彼女の方が悪いかのようにかき立てられてしまうのです。
そして、本人は隠していたのですが、小蔵屋の頼りになる店員・久美までもが・・・。
女性の性被害は、訴え出るのにもすごい勇気を必要とする上に、
さらに本人に非があるように言われたりもする、
非常にやっかいなものですよね。
でも、重苦しい中にも、久美を理解してくれる男性が登場したりする、
ちょっと嬉しい部分もあるのです。
お草さんの小蔵屋は変わらないようでも、少しずつ変化していきますね。
うちのご近所にもこんなお店があったらいいなあ・・・。
あ、巻末に注釈がありまして、2017年に法改正があり、
強制性交罪(強姦罪)は非親告罪(被害者の告訴なしでも起訴可能)となっているとのこと。
本作はその少し前のこととして設定しているそうです。
「黄色い実」吉永南央 文春文庫
満足度★★★★☆
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