真実は必ずしも人を幸福にしない
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米、オクラホマ州スティルウォーターに住むビル(マット・デイモン)。
彼には娘・アリソン(アビゲイル・ブレスリン)がいるのですが、
留学先の仏・マルセイユで殺人の罪により服役中。
もう5年になります。
アリソンはほとんどビルの母である祖母に育てられ、仕事で不在がちのビルとは疎遠。
けれどビルはこの5年間は頻繁にアリソンとの面会のためマルセイユを訪れています。
そして、娘が言う「自分は無実である」ということを信じてもいるのです。
そんなある日、実の犯人らしき人物の情報を耳にしたビル。
けれど弁護士は取り合ってくれず、探偵を雇うお金もない。
そこで、ビルは自身でその男の行方を探そうとしますが・・・。
ビルは、マルセイユで知り合い親しくなった母子の家に世話になることにします。
シングルマザーのヴィルジニーとその娘マヤ。
実のところフランス語が全く話せないビルは、人々に聞き込みを行うのも困難。
けれどずいぶんヴィルジニーには助けられます。
そしてマヤもビルを気に入り、互いにフランス語と英語を教え合うようになります。
ビルは、自分が娘をかわいがることができなかった後悔を取り戻すかのように、
マヤとの絆を深めてゆく。
ビルとこの母子との交流がとても丁寧に描かれていて、
本作は実は恋愛ものか家族ものだったのか・・・?
と思い始めた頃に、いきなりサスペンスに変貌!!
ビルの過激な思い込みが恐い展開を見せ始めるのです。
しかし・・・。
真実は別のところにあった。
題名の「スティルウォーター」は、ビルとアリソンのホームタウンの名前。
本作はほとんどマルセイユが舞台です。
けれど、この名前に意味があった、
というのがなかなか心憎い。
大人は子供に嘘をつかせるようなことをしてはいけない。
そして、真実は必ずしも人を幸福にはしない。
いろいろなことを訴えかけてくる作品でした。
<Amazon prime videoにて>
「スティルウォーター」
2021年/アメリカ/139分
監督:トム・マッカーシー
出演:マット・デイモン、アビゲイル・ブレスリン、カミーユ・コッタン、リル・シャウバウ
サスペンス度★★★★★
父と娘の相克度★★★★☆
満足度★★★★☆
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