映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「犬も食わない」尾崎世界観×千早茜

2023年02月15日 | 本(その他)

男と女の本音

 

 

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派遣秘書の二条福は雇い主と出かけた先のビルで、
廃棄物処理業者の桜沢大輔とぶつかった。
ろくな謝罪もない舐めた態度に激高した福は罵詈雑言の限りを尽くし、
大輔はたった一言でやり返す……
そんな最悪な出会いから始まった二人だった。

脱ぎっぱなしの靴下、流しに放置された食器、風邪の日のお節介。
ベッドの半分を占める体は邪魔だし、
同じシャンプーが香る頭は寝癖だらけ。

他人の「いいね」からは程遠い、だらしなくてだめな男と
めんどくさい女の喧嘩ばかりの恋愛の本音。
男女の視点別に描く共作小説!

〈豪華約30P! 尾崎世界観×千早茜、両著者による新規対談を収録。〉

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ケンカばかりの男女ペアの物語ですが、
これを尾崎世界観さんと千早茜さんの男女が
それぞれのパートを書き進めているというユニークな作品です。
ちょうど私がこれを読んでいるときに、
千早茜さんの直木賞受賞のニュースがありまして、なかなかよいタイミングでした。

 

派遣秘書の二条福と、廃棄物処理者の桜沢大輔。
そもそもがあまり出会わなそうな2人がひょんなことから知り合います。
そしてどうして付き合うようになったのか、という所はすっ飛ばして、
同居してしばらく経ったところから本題がスタート。
実はどうやって付き合い始めたのかは知りたいところでもありますが・・・。

 

大輔の生活態度のだらしなさについては、多くの女性達に大いに心当たりがあるのでは?
けれど、それをいちいち口に出してガミガミ言う福についても、
大輔は不満を持ち始めている。
始めのうちはなんでも話をして、楽しく過ごしていたのに、
今ではあまり口も聞かなくて、一方的に福が大輔に文句ばかりを言うことが多いのです。

実に等身大の2人。
きっと、「分かるわあ・・・」とつぶやく人が多いのでは。

ところがやがて一つの事件がおこります。
いや事件というほどではないのだけれど。

なぜか大輔は家のクローゼットの中に身を潜めていて、
こっそり、自分の弟と福の会話を盗み聞いてしまうという、
スリルなのかまぬけなのかよく分からない状況に。

こんなことのあとで、2人の状況は変わるのやら、変わらないのやら。

 

楽しく読めました。
巻末には、著者2人の対談がたっぷり収められていて、これもお得です。
千早茜さんの直木賞受賞作も、ぜひ読んでみたいです。

「犬も食わない」尾崎世界観×千早茜 新潮文庫

満足度★★★★☆

 



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