ジビエ料理はいかが?
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シェフの亮は鬱屈としていた。
創作ジビエ料理を考案するも、店に客が来ないのだ。
そんなある日、山で遭難しかけたところを、無愛想な猟師・大高に救われる。
彼の腕を見込んだ亮は、あることを思いつく……。
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近藤史恵さんのシェフが登場するストーリーと言えば、
三舟シェフの「ビストロ・パ・マル」のシリーズ。
この度、嬉しくも西島秀俊さんが三舟シェフ役で、
TVドラマ「シェフは名探偵」がスタートしました。
やった~!
で、こちらはそれとは関係ないのですが、やはりシェフが登場する物語。
そもそもこの題名「みかんとひよどり」というと、
何か牧歌的なほのぼのしたものを想像していたのですが、
そうではありませんでした。
亮はフレンチのシェフですが、特に、ジビエ料理に力を入れたいと思っているのです。
ジビエ、つまり野性の動物の料理ですね。
イノシシや鹿、野鳥類・・・。
そう、この題名は食材としてのヒヨドリのことでした!
野生動物を食するためには、罠や銃が必要で、当然解体もしなければなりません。
そんなことから、ちょっと残酷で野蛮、という印象があるのも否めません。
けれどふだん、いいだけ牛や豚、鶏などを食べていて、
今さら残酷って、それはないですよね。
味を極めようとすれば、人の手で飼育された動物よりも、
より風味がくっきりとしそうなジビエに目が向くのは当然なのかもしれません。
亮はそのため自ら猟にも行くのですが、まだまだ腕は良くなく、
あるとき山で方向を見失い遭難しかけたところを、
大高という腕はいいが無愛想な猟師に救われます。
そしてその後、彼から食材の肉を手に入れるようになります。
ところがその大高の身辺に、火事など不可解な事件が起こり始めて・・・。
その謎を解くミステリとなっています。
やはり、ジビエに関しての反感を持つ一部の人々がいる・・・、
そういうことなのでしょう。
けれど今、増えすぎたイノシシや鹿による食害が問題になっていることもあり、
駆除した野生動物をただ廃棄するよりも、
食べるという活用の仕方は有用であるはずなのですね。
猟や罠のこと、解体のこと・・・
今まで知らなかったジビエにまつわることを多く学ばせても頂きました。
そこでまた、題名に戻りますが、ヒヨドリがミカンをお腹いっぱいに食べ丸々と太る。
そのヒヨドリの肉は、ミカンの香りがするそうです。
・・・食べてみたくなりますよね!
「みかんとひよどり」近藤史恵 角川文庫
満足度★★★★☆
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