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「グイン・サーガ121/サイロンの光と影」 栗本薫 ハヤカワ文庫
さあ、ようやくグインがケイロニアに戻ってきました。
結局彼の中では、ケイロニアを出てパロについてからのさまざまなことがすっかり抜け落ちて、気がつけば、すべてが終わっていて、もうケイロニアにかえるところだったわけですから・・・。
なんだかむだというか、むなしいというか・・・。
あまりにも、無常な記憶の喪失ですよねえ。
しかし、やはり一番、くつろげてほっとできる・・・。
はず、だったのですね。
そう、そのはずでした。
しかし、何も怖いものなしのグインの唯一つの弱点は、彼の妻、シルヴィア。
この、わがまま、無自覚の淫乱娘をどう扱っていいかわからない。
長旅からやっと帰り着いた夫に会おうともぜず、引きこもってるシルヴィア。その、重大な秘密は・・・!?思いだすのは、初めてあったころの、グインとシルヴィアのダンスのシーン。
そんなこともありましたっけ・・・。
それなりに、いいシーンでしたよ。
シルヴィアが最も輝いていた時ですよね。
キタイへの拉致事件がなければもう少し、ましな奥さんになれたかもしれないのですが・・・。
どうも、彼女はそこで、男ががいないと生きていけない体にされてしまった・・・。
気の毒としかいいようがないけれど、身から出たサビ、のような気もしてしまう。
そこへ夫の長期不在だから。
起こるべくして起こってしまった?
いやはや、作者はどこまでもシルヴィアに意地悪。
この先の展開も気になりますね・・・。この先、どうする、どうなる???
さて、今回の表紙の絵は、いったいだれ?
今号の内容から察するに、これはハゾスなんでしょう。
うそ~。この金髪の憂いを帯びた美青年が・・・?こんなステキだなんて、今までイメージしてなかったよ~。
そうだよね、もっとおっさんポイかと思っていた・・・。
いきなり、ファンになっちゃたりして。
憂いを帯びた顔にもなりますよね。今回のこの展開では・・・。
ここのところ栗本氏の病気とシンクロするかのように元気のないグインでしたが、
今号、ホームに帰ってすらも、悩み多きグイン。早く彼の本領発揮、自信たっぷりのグインが見たいです・・・。
満足度★★★
こういった感じの紹介も良いですね。
大好きです。
この作品、あんまり面白そうじゃないと思えば良いですか?
突っ込みをいれつつ、遊びたい時に、カエルとひよこが登場するのです。でも、このグイン・サーガシリーズは、すべてこのスタイルと決めています。
実はカエルが過激な突っ込み役で、ひよこが良識派のなだめ役、と決めたはずなのに、適当になっているので、もう少しきちんとやりたいと思っていたところではありますが・・・。
グイン・サーガはずーっと続きの話なので、どうしても緩急があるのです。あっと驚く急展開のときと、幕間のような穏やかな時と・・・。この巻は、まさに幕間の巻。なので、まあ、特別面白いというわけではありません。こればかりは、1巻から全部とおしてみないと、その面白さはわかりませんし、特定の一冊だけをピックアップして読む、というための本ではないのであります。・・・読んでみますか?121巻・・・。