語らない“間”の面白さ
* * * * * * * * * *
のどかな山村にゾンビ映画の撮影隊がやって来ました。
ひょんなことからこの映画撮影を手伝うことになった60歳、木こりの克彦(役所広司)と、
気が弱くてスタッフをまとめられない25歳、新人監督幸一(小栗旬)の交流を描きます。
「南極料理人」の沖田修一監督。
ごく普通の人達のユーモラスな行動をじっくりとらえ、
また、お互いに影響を及ぼし成長していく過程がとてもいいですね。
気が小さくてダメ出しをできない監督・・・。
そんなことは考えたこともなかったですが、
確かに年季の入った超ベテランのカメラマンやら助監督やら俳優やらに囲まれれば、
若き新監督はなかなか思ったことを言えないなんてことはありそうです。
克彦ははじめ幸一を監督とは知らず、
「若いのに何ぼーっとしてるんだ、行って手伝ってこい」なんて言ってしまうのですが、
それすらも否定できない幸一。
実は、克彦には幸一と同じ年くらいの息子がいて、
仕事をやめてゴロゴロしていたのです。
何をやってるんだか・・・と、歯痒く見ていたわけですが、
職場の中で苦労しながらも頑張っている幸一を見るうちに、
若者は若者なりの苦労があるとわかっていくのですね。
二人の、
海苔を食べながら将棋を指すシーン、
温泉のシーン、
あんみつのシーン、
どれもじんわりとした可笑しみがあり、心に残っています。
さて、この二人のみならず、撮影スタッフと村人たちもまた、良い協力関係を結んでいきます。
次第に村を上げての撮影協力となっていく。
しょうもないゾンビ映画なんですけどね。
でもやっぱり身近な所で撮影をやっていたら、つい身近に感じてしまいますよね。
たとえゾンビ姿でも出演できるとなれば、そりゃ~、も~!
ところでこの映画自体の撮影現場は、かなり複雑だったのではないでしょうか。
撮影現場の中に撮影現場がある。
カメラを撮っている光景をまた撮っているカメラがある。
劇中劇というよりもっと複雑な感じです。
あの、体育館内で槍の練習をするシーン。
レールの上をカメラで移動して撮影するシーンがありました。
それを向かい側から見ているので、
つまりはこちら側にも同じレールがあって、同じ形で撮影をしているわけですね。
そのような映画の裏事情を思わせるシーンがとても興味深かったのです。
屋外の撮影は天候に左右されることが多くて大変、ということもよくわかりました!!
余談ですが、私、この日は「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」と、この作品を2本見たのです。
「ものすごく・・・」は確かに素晴らしかった。
でも、こちらを見たらやっぱりこちらのほうが好きだなあ・・・と、しみじみ思ってしまったのでした。
テーマも内容も全く違うので比較すべきものでもないのですが、
多分、日本人ならたいていの方はそう感じるのでは・・・?
「ものすごく・・・」は、実に“うるさい”のです。
音やセリフが、というのではなくて(いや、若干それもあるかな)、
全体に饒舌・・・。
邦画は、セリフの間合いやお互いの呼吸が静かなんですよね・・・。
なんだか、まったりと落ち着く。
やっぱり自己主張しない民族なのかな。
ハリウッド映画好きの私ですが、基本はやっぱり日本人、
と今更感じた次第。
2011年/日本/129分
監督:沖田修一
出演:役所広司、小栗旬、高良健吾、臼田あさ美、古舘寛治
* * * * * * * * * *
のどかな山村にゾンビ映画の撮影隊がやって来ました。
ひょんなことからこの映画撮影を手伝うことになった60歳、木こりの克彦(役所広司)と、
気が弱くてスタッフをまとめられない25歳、新人監督幸一(小栗旬)の交流を描きます。
「南極料理人」の沖田修一監督。
ごく普通の人達のユーモラスな行動をじっくりとらえ、
また、お互いに影響を及ぼし成長していく過程がとてもいいですね。
気が小さくてダメ出しをできない監督・・・。
そんなことは考えたこともなかったですが、
確かに年季の入った超ベテランのカメラマンやら助監督やら俳優やらに囲まれれば、
若き新監督はなかなか思ったことを言えないなんてことはありそうです。
克彦ははじめ幸一を監督とは知らず、
「若いのに何ぼーっとしてるんだ、行って手伝ってこい」なんて言ってしまうのですが、
それすらも否定できない幸一。
実は、克彦には幸一と同じ年くらいの息子がいて、
仕事をやめてゴロゴロしていたのです。
何をやってるんだか・・・と、歯痒く見ていたわけですが、
職場の中で苦労しながらも頑張っている幸一を見るうちに、
若者は若者なりの苦労があるとわかっていくのですね。
二人の、
海苔を食べながら将棋を指すシーン、
温泉のシーン、
あんみつのシーン、
どれもじんわりとした可笑しみがあり、心に残っています。
さて、この二人のみならず、撮影スタッフと村人たちもまた、良い協力関係を結んでいきます。
次第に村を上げての撮影協力となっていく。
しょうもないゾンビ映画なんですけどね。
でもやっぱり身近な所で撮影をやっていたら、つい身近に感じてしまいますよね。
たとえゾンビ姿でも出演できるとなれば、そりゃ~、も~!
ところでこの映画自体の撮影現場は、かなり複雑だったのではないでしょうか。
撮影現場の中に撮影現場がある。
カメラを撮っている光景をまた撮っているカメラがある。
劇中劇というよりもっと複雑な感じです。
あの、体育館内で槍の練習をするシーン。
レールの上をカメラで移動して撮影するシーンがありました。
それを向かい側から見ているので、
つまりはこちら側にも同じレールがあって、同じ形で撮影をしているわけですね。
そのような映画の裏事情を思わせるシーンがとても興味深かったのです。
屋外の撮影は天候に左右されることが多くて大変、ということもよくわかりました!!
余談ですが、私、この日は「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」と、この作品を2本見たのです。
「ものすごく・・・」は確かに素晴らしかった。
でも、こちらを見たらやっぱりこちらのほうが好きだなあ・・・と、しみじみ思ってしまったのでした。
テーマも内容も全く違うので比較すべきものでもないのですが、
多分、日本人ならたいていの方はそう感じるのでは・・・?
「ものすごく・・・」は、実に“うるさい”のです。
音やセリフが、というのではなくて(いや、若干それもあるかな)、
全体に饒舌・・・。
邦画は、セリフの間合いやお互いの呼吸が静かなんですよね・・・。
なんだか、まったりと落ち着く。
やっぱり自己主張しない民族なのかな。
ハリウッド映画好きの私ですが、基本はやっぱり日本人、
と今更感じた次第。
2011年/日本/129分
監督:沖田修一
出演:役所広司、小栗旬、高良健吾、臼田あさ美、古舘寛治
欧米人のように喋り倒した方が勝ちってのはスカッとする反面少々疲れます。
実は、小栗さんはあまり好きな俳優さんではなく、高良さんに興味があったのですが、高良さんはいつものイメージから抜け出ておらず完全な脇役で、ちょっと残念でした。
小栗さんと役所さんが少し離れて食べるロケ弁は忙しなさが強調されていたようですが、キコリ仲間とお弁当を食べながらの会話はツボで笑わせてもらいました。^^
そういえば私も、小栗旬さんを特別好きと思ったことはなかったのですが、この作品ではなかなか良かったですね。
靴下の色をジンクスにしてみたり、甘いものを断ってみたり、というのも面白かった。
職業も年齢も全く違うけれど、お互いがお互いを尊重しつつ理解し合えるようになる、というのは理想です。
だからこれはファンタジーなのかもしれないけれど・・・、満足感が残りました。