ミステリと冒険ファンタジーの融合
* * * * * * * * * *
第64回日本推理作家協会賞その他、数々の賞を欲しいままにした作品です。
「魔術と剣と謎解きの巨編」とあるように、中世イギリスが舞台。
思い切りファンタジー要素たっぷりで、
これまでの「ミステリ」とは全然イメージが異なります。
そもそもミステリは現実的ロジックで謎を解き明かしていくもの。
そこに魔法が出てきてしまっては、"ズル"じゃん、とそう思えるわけなのですが・・・。
いえ、ご心配なく。
実際ファンタジー要素たっぷりの冒険ものですが、
やっぱりきちんとした"推理"の力で謎は解かれます。
ロンドンから東へ海を進んだソロン諸島。
その地を治めるのはローレント・エイルウィン。
しかし、彼は暗殺騎士によって殺されてしまいます。
彼の娘アミーナが、暗殺騎士を追って放浪の旅をする騎士ファルク・フィッツジョンと共に、
この殺人者を突き止めていくというストーリー。
殺人の実行者は、暗殺騎士の魔術により、
自分でもそうと知らないうちに操られて殺人を犯しているのです。
また、それと時を同じく、
この地の因縁の敵"呪われたデーン人"が襲撃を仕掛けてくる。
アミーナの兄アダムが領主の跡継ぎなのですが、とんでもない役立たず。
聡明で勇気あるアミーナが、父暗殺の謎とデーン人との戦いに臨みます。
市が立ち、にぎわう港町をアミーナが行くシーンから始まる冒頭、
すっとこの世界に引きこまれてしまいました。
そして、このストーリーでの名探偵役は騎士ファルク。
少年ニコラを助手としています。
美少女と騎士と少年、お膳立てはバッチリ。
あとは皆一癖も二癖もありそうな傭兵たち。
そして薄気味の悪い不死の"呪われたデーン人"。
サーガを語る吟遊詩人。
けれど無駄な布陣はありません。
それぞれがそれぞれの意味を持って存在しています。
中でもデーン人との戦闘シーンは凄まじく迫力に満ちていて、
まさに手に汗を握ります。
いくら待っても来ないアダムとその兵の一団。
傭兵たちに任せて自分だけ逃げ出すわけに行かないと、
恐怖にたちむかい、戦闘の場に留まるアミーナの姿は、凛々しくかっこいい。
まさに現代性のある女性像。
ラストでは、ファルクが関係者一同を呼び集め、
真相を一つずつ解き明かしていきます。
彼はこれを「儀式」と呼ぶ。
そうです、ミステリでは欠かせない大切な「儀式」ですよね。
ところがここでも、並ではない驚愕の真相が・・・・!!
ある意味これは反則技かもしれませんが・・・。
何れにしてもドキドキする冒険ファンタジーとミステリの素晴らしい融合の形を見ることができたと思います。
こういうストーリーを読むのは、ある意味至福の時。
「折れた竜骨」米澤穂信 東京創元社 ミステリ・フロンティア
満足度★★★★★
折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア) | |
米澤 穂信 | |
東京創元社 |
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第64回日本推理作家協会賞その他、数々の賞を欲しいままにした作品です。
「魔術と剣と謎解きの巨編」とあるように、中世イギリスが舞台。
思い切りファンタジー要素たっぷりで、
これまでの「ミステリ」とは全然イメージが異なります。
そもそもミステリは現実的ロジックで謎を解き明かしていくもの。
そこに魔法が出てきてしまっては、"ズル"じゃん、とそう思えるわけなのですが・・・。
いえ、ご心配なく。
実際ファンタジー要素たっぷりの冒険ものですが、
やっぱりきちんとした"推理"の力で謎は解かれます。
ロンドンから東へ海を進んだソロン諸島。
その地を治めるのはローレント・エイルウィン。
しかし、彼は暗殺騎士によって殺されてしまいます。
彼の娘アミーナが、暗殺騎士を追って放浪の旅をする騎士ファルク・フィッツジョンと共に、
この殺人者を突き止めていくというストーリー。
殺人の実行者は、暗殺騎士の魔術により、
自分でもそうと知らないうちに操られて殺人を犯しているのです。
また、それと時を同じく、
この地の因縁の敵"呪われたデーン人"が襲撃を仕掛けてくる。
アミーナの兄アダムが領主の跡継ぎなのですが、とんでもない役立たず。
聡明で勇気あるアミーナが、父暗殺の謎とデーン人との戦いに臨みます。
市が立ち、にぎわう港町をアミーナが行くシーンから始まる冒頭、
すっとこの世界に引きこまれてしまいました。
そして、このストーリーでの名探偵役は騎士ファルク。
少年ニコラを助手としています。
美少女と騎士と少年、お膳立てはバッチリ。
あとは皆一癖も二癖もありそうな傭兵たち。
そして薄気味の悪い不死の"呪われたデーン人"。
サーガを語る吟遊詩人。
けれど無駄な布陣はありません。
それぞれがそれぞれの意味を持って存在しています。
中でもデーン人との戦闘シーンは凄まじく迫力に満ちていて、
まさに手に汗を握ります。
いくら待っても来ないアダムとその兵の一団。
傭兵たちに任せて自分だけ逃げ出すわけに行かないと、
恐怖にたちむかい、戦闘の場に留まるアミーナの姿は、凛々しくかっこいい。
まさに現代性のある女性像。
ラストでは、ファルクが関係者一同を呼び集め、
真相を一つずつ解き明かしていきます。
彼はこれを「儀式」と呼ぶ。
そうです、ミステリでは欠かせない大切な「儀式」ですよね。
ところがここでも、並ではない驚愕の真相が・・・・!!
ある意味これは反則技かもしれませんが・・・。
何れにしてもドキドキする冒険ファンタジーとミステリの素晴らしい融合の形を見ることができたと思います。
こういうストーリーを読むのは、ある意味至福の時。
「折れた竜骨」米澤穂信 東京創元社 ミステリ・フロンティア
満足度★★★★★
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