「幸せの絵」に潜んだ感情
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2014年デンマーク映画「サイレント・ハート」のリメイクです。
リリー(スーザン・サランドン)は、海辺の邸宅で夫・ポール(サム・ニール)と暮らしています。
その日、娘のジェニファー(ケイト・ウィンスレット)とアンナ(ミア・ワシコウスカ)、
その家族たち、そしてリリーの学生時代からの大親友リズ(リンゼイ・ダンカン)を呼び集めました。
不治の病により、死を覚悟したリリーが、家族や親しい人々と過ごす最後の時にしようと思ったのです。
ついこの間「スーパーノヴァ」を見まして、
そちらは男性同士のパートナーの片割れがやはり病に犯され、
幸せな時を過ごした後に自殺を試みるのです。
その時に、「同様の状況となった男女のペアで、片方が自殺というストーリーを見たことがない」、
などと書いたのですが、あれま、その直後に本作を見たのでした・・・。
リリーはもうまもなく体が思うように動かなくなり、
寝たきりで食事もとれなくなる、とわかっています。
だからそうなる前に、自らの命を終わらせてしまおうと覚悟を決め、
呼び集めた家族と親友にもその決意を説明。
皆はなかなか納得はできないものの、本人の意を汲もうと考えるようになります。
・・・と、そこまでなら良くあるストーリー。
ところがここで、ある秘密が明るみに出て、様相が変わってしまいます。
リズは学生時代ポールが好きだったのですね。
どうやらリリーとリズ、そしてポールは三角関係にあって、
結局リリーとポールが結婚ということに落ち着いたらしい。
しかしリズは未だに独身で、しかもリリー一家とも非常に親しく交友を続けている。
家族旅行もほとんど一緒。
これまでごく普通の穏やかな一家、と見えていたものが、
やにわにいびつにゆがんで見えてきます。
リリーが早々に安楽死を決めたと言うのには
もっと複雑な感情が潜んでいるのではないか・・・、
あるいはリズとポールの陰謀とか・・・。
端から見た幸せの形は、本人にとってもそうだとは限らないわけですね。
それにしても海辺のこの家。
居間の大きな窓からすぐに海が見えて、広くて居心地の良さそうな間取り。
温室には果物がなっていて鶏が餌をついばんでいる。
そこで親しい友人と家族が集まってディナー。
くつろいだ時間。
はあ・・・いいですねえ。
確かに、こんな時間を人生の最後の時として過ごせたら最高に幸せだと思います。
あんな風に「安楽死」の薬が簡単に手に入るのだったら、
不治の病でなくても使ってみたくなるかも・・・。
<シアターキノにて>
「ブラックバード 家族が家族であるうちに」
2019年/アメリカ・イギリス/97分
監督:ロジャー・ミッシェル
出演:スーザン・サランドン、ケイト・ウィンスレット、
ミア・ワシコウスカ、リンゼイ・ダンカン、サム・ニール
秘密度★★★★☆
満足度★★★☆☆
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