映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

恐怖の報酬

2021年05月25日 | 映画(か行)

緊張感ハンパなし

* * * * * * * * * * * *

本作、77年の全米公開時、「スター・ウォーズ」が大旋風を起こした影響で、
興行的に大失敗となってしまいました。
78年、日本や北米以外の国では、
監督に無断で大幅にカットされた92分の短縮版が上映されたとのこと。
そして2013年、監督自身の手により121分オリジナル版の4Kデジタル修復が行われ、
日本でも18年11月に「オリジナル完全版」として、劇場公開された、
ということで話題になった作品です。
その時に興味があって、みたいと思ってはいたのですが、
なんとなく見そびれて、この度の視聴となった次第。
旧カット版の方は確かテレビの洋画劇場かなにかで、見た記憶はあるのですが・・・。

南米のジャングル。
油田の火災を鎮火させるため、大規模な爆破を行う必要が生じます。
そこで1万ドルの報酬と引き換えに、危険なニトログリセリン運搬を
4人の男たちが請け負うことになります。
ジャングルや崖道、まともではない道路を、
ひたすら大きな振動を与えないように、手に汗を握る運搬が始まる・・・。

この4人の男たちは、テロ犯罪や巨額の負債などから逃れ、身を隠すために
このジャングルの油田にたどり着き、過酷な労働に耐えながら生きていたのです。
その一人一人の事情が本作のほとんど前半を用いて描写されています。

それぞれの男たちが、それぞれの事情で自身の暮らしていた社会から逃亡せざるを得なくなり、
お金もなくにっちもさっちもいかなくなっている。
この過酷な地で朽ち果てるしかないのか・・・と思い始めたようなときに、
この、恐ろしくも旨い話が舞い込むわけです。
そんなわけで、緊張に満ちた「爆発物の輸送」という予告編やら前触れを見た人にとっては、
前半、やや冗長に感じるかもしれません。
だからこそ、この部分が多分カットされてしまったのだろうなあ・・・と、
納得できるところでもあります。
でも、そうしたシーンでも、それぞれの逃亡は危機一髪のタイミングであったりして、
退屈というわけでもないのですが。

それでも、いざニトログリセリンの運搬が始まったときには、
とにかく緊張感の連続で、もうカンベンシテ・・・と言いたくなるくらいでした。

断崖絶壁の細い道、朽ちかけた揺れる吊り橋・・・、
ただ通るだけでも怖いのに、極力振動を抑えなければならないなんて、恐ろしすぎます。
そうしてたどり着いた先には、大木が横たわって道を塞いでいる。
・・・さあ、どうする!?

そしてまた、一難去った後というのがまた危ない。
ふっと緊張が緩んだその時・・・。

たたみかけるようにやってくる困難、苦難。
一見の価値はあります。

<シネマ映画.comにて>

「恐怖の報酬」

1977年/アメリカ/121分

監督:ウィリアム・フリードキン

出演:ロイ・シャイダー、ブルーノ・クレメル、フランシスコ・ラバル、アミドウ、ラモン・ビエリ

緊張感★★★★★

満足度★★★★.5



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