映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ファーザー

2021年08月23日 | 映画(は行)

どこまでが現実で、どこからが幻想か

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本作は、フロリアン・ゼレール氏が自身の戯曲を自ら映画化し、監督デビューしたもの。
また、主演アンソニー・ホプキンスは本作で2度目のアカデミー主演男優賞を受賞しています。

ロンドンで一人暮らしをする81歳アンソニー(アンソニー・ホプキンス)。
認知症により、記憶が混乱し始めています。
しかし、娘・アン(オリビア・コールマン)が手配した介護人は拒否。


そんな時アンソニーは、アンが新しい恋人とパリで暮らすことになったと聞きます。
しかしまた、別の時にはアンと結婚して10年以上になるという見知らぬ男が、
ここはアンソニーの家ではなくアンの家だと言ったりする・・・。
そして、アンソニーが会いたいと思っている下の娘は、全く姿を現さない・・・。

まるで何かの陰謀が張り巡らされた心理サスペンスのようでもあります。
でも、これはそうではない。
アンソニーが翻弄されるのと同時に、
私たちも翻弄されていきます。
一体どれが真実で、どこまでが幻想なのか。

記憶の欠落と混乱。
私たちはアンソニーとともにその恐怖を共有することになります。

実はアンの妹はすでに亡くなっているのですが、
アンソニーはそのことを忘れているのです。
そしてまた、アンよりも妹の方を気に入っていた彼は、
彼女が今はどうしているのか、なぜうちに来ないのか、としきりにアンに尋ねるのです。
さらにまた一方でアンソニーは、アンのことが誰だかわからなくなってしまうときもある。
父を心配し、面倒を見て、あげくにこの仕打ち。
さすがにイヤになりますよね・・・。
でも認知症に罪はないのだけれど・・・。

なかなか切ない家族のストーリーでもありました。

<映画.comにて>

「ファーザー」

2020年/イギリス・フランス/97分

監督:フロリアン・ゼレール

出演:アンソニー・ホプキンス、オリビア・コールマン、マーク・ゲイティス、
   イモージェン・プーツ、オリビア・ウィリアムズ

 

認知症のリアル度★★★★★

満足度★★★.5

 

 



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