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ミケランジェロ・プロジェクト

2016年05月20日 | 映画(ま行)
美術品と人の命、どっちが重い?



* * * * * * * * * *

ナチスドイツが各国を侵攻した時に略奪した
歴史的に重要な美術品を取り戻そうとする、実話に基づいた作品です。



しかし本作は、米国においても日本においても公開が延期され、
上映も危ぶまれたといういわくつきの作品。
ネットによるウワサでは、ナチスが略奪した美術品の行方について、
これ以上余計な憶測を広げたくない何か(どこか?)の圧力があったのだ、と言います。
実際ドイツ軍敗退のどさくさに紛れて、
本来の持ち主でないところに流れていってしまった高価なものがかなりあるということなのかもしれません・・・。
本作中にも、連合軍側の彼らチームが発見するより先に
ソ連軍が美術品を発見した場合には、
ソ連がそれを勝手に持って行ってしまうというシーンもありましたから・・・。
(チームが発見した美術品は、元の持ち主に返したということになっていましたが、
必ずしもそうでなかったのかも・・・?)



さて本作、この略奪された美術品を取り戻すために結成されたチームというのが、
ハーバード大学附属美術館長フランク・ストークス(ジョージ・クルーニー)をはじめとする美術の専門家たち。
軍隊の経験などない7名。
この7名が軍服に身を包み、あの激戦地、ノルマンディーに上陸します。
時はドイツが連合軍に押しまくられ、本国へと徐々に戦線を縮小していく頃。
ドイツ軍が出て行ってしまえば美術品は残るだろうと思ったら大間違い。
彼らは、美術品を渡すくらいなら燃やしてしまえ!という暴挙に出ます。
だからドイツ軍が逃げ出してしまってからでは遅いのです。
何としても、美術品の隠し場所を突き止め、
彼らがそれを「処分」する前に取り戻さなければ・・・。
ということで、彼らは危険な地域にも踏み込まなければならず、
2名の戦死者を出してしまいます。



美術品は人の命よりも大切なものだろうか? 
それを守るのに命をかける価値があるのか? 
まさに、究極の命題であります。


それにしても、本来ユダヤ人のものだった美術品や家具も、
ものすごく膨大な量がありました。
樽に入った大量の金ピカの粒状のもの、それは「金歯」だったというのには言葉を失います。
でも、アメリカならではのちょっぴり楽天的な話の運びが、逆に救われるような気がしました。
あまりシリアスなら暗すぎるし、怖すぎます。
そんなわけで、隠れた歴史を知る上でもいい作品だったと思うのですが、
ジョージ・クルーニー監督作品というセールス・ポイントを持ちながらも、
何故か地味~に上映されてしまったというのがとても残念です。

ミケランジェロ・プロジェクト [DVD]
ジョージ・クルーニー,マット・デイモン,ビル・マーレイ,ジョン・グッドマン,ジャン・デュジャルダン
松竹


「ミケランジェロ・プロジェクト」
2014年/アメリカ/118分
監督:ジョージ・クルーニー
出演:ジョージ・クルーニー、マット・デイモン、ケイト・ブランシェット、ビル・マーレイ、ジョン・グッドマン
歴史発掘度★★★★☆
満足度★★★★☆


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