主人公は、サイコパス?
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19歳の坂木錠也(さかき じょうや)は、ある雑誌の追跡潜入調査を手伝っている。
危険な仕事ばかりだが、生まれつき恐怖という感情が欠如した錠也にとっては天職のようなものだ。
天涯孤独の身の上で、顔も知らぬ母から託されたのは、謎めいた銅製のキーただ1つ。
ある日、児童養護施設時代の友達が錠也の出生の秘密を彼に教える。
それは衝動的な殺人の連鎖を引き起こして……。
二度読み必至のノンストップ・ミステリ!
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本作主人公・錠也は、生まれつき恐怖の感情が欠落しています。
そんな彼が、あるとき児童養護施設時代の友人と再会し、衝撃の事実を聞かされます。
錠也の母親は、妊娠中にある男に襲われて命を奪われたのだけれど、
亡くなる寸前に錠也を出産。
ところが、その母親を殺したのが、その友人の父親だと言うのです。
父親はそのため刑務所に入っていたのだけれど、最近出所した、と。
友人の父親のために、自分の人生はめちゃめちゃになった・・・。
そう思った錠也は、復讐のため、父親に襲いかかり・・・。
錠也はつまり、何のためらいもなく人を殺すサイコパス・・・?
と、そのように思わせるように物語りは描かれています。
ミステリには犯人側から描かれるものも多いけれど・・・、
それにしても残虐なサイコパスの少年が主人公というのは、
読者としてはどうしていいかよく分からない。
やり過ぎなのでは?道尾秀介さん・・・
などと戸惑いつつ読み進んでいくと・・・。
ああ、やっぱりこれはしかけられたフェイクでした!
そのうえ、二重三重に用意された驚き。
なかなかのものです。
それにしても、錠也にも若干危ういところがないわけでもない。
でもそれを救っているのが、彼の亡き母親であり、
彼のことを気にかけてくれる間戸村。
サイコパスを描きながらも、こういうしっかりした「大人」を描くところが
著者のいいところだと思う次第。
「スケルトン・キー」道尾秀介 角川文庫
満足度★★★☆☆
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