グロリア・スタイネムを知ろう
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1960年代~70年代を中心に女性解放運動のパイオニアとして活躍した
アメリカのフェミニズム活動家、グロリア・スタイネムの物語。
彼女は、大学時代に留学したインドで、
男性から虐げられる女性たちの悲惨な経験を見聞きします。
そして帰国後、ジャーナリストとして働き始めます。
しかし、女性であるが故にファッションや恋愛のコラムしか任せてもらえず、
本当に書きたい社会的テーマは書かせてもらえません。
そんな中グロリアは、高級クラブ「プレイボーイクラブ」にバニーガールとして潜入。
バニーガールの内幕を記事として出して告発。
このことをきっかけに、徐々に女性解放運動の活動家として知られるようになっていきます。
この頃の女性解放運動での大きな功績の一つは、
女性の敬称を、Miss.(ミス)やMrs.(ミセス)でなく、
既婚未婚にかかわらずMs.(ミズ)とすることを提唱し、全米に受け入れられたこと。
確かに現在はミズというのが当たり前になっていますよね。
でもちょっと気になるのは、今、性的マイノリティの人たちをどのように呼ぶのか・・・?
Mr.とMs.だけではやはり使い勝手が悪そう。
日本はすべて「~さん」でいいからいいですよね。
それから女性解放運動でもう一つ重要なのは、妊娠中絶のこと。
生むか生まないかは女性自身が決める。それは権利。
という解放運動サイドの考えは、敬虔なキリスト教信者の人々から猛烈な非難を受けます。
その中の多くが女性。
この問題は今も賛否両論で、
アメリカでは州によって堕胎が合法であったり非合法であったりするようです。
ともあれ、そんな時代から半世紀を経て、
確かに女性の地位は向上したと言っていいでしょう。
それはやはりこのグロリア・スタイネムらの飽くなき活動が実を結んだわけで、
まさに、貴重なストーリー。
ただ、今なお女性の権利など一ミリも認められない国や地域が多くあることを忘れてはいけません。
さて本作はグロリアの様々な年代の姿が登場します。
子供時代、少女時代、青年期(アリシア・ビカンダー)、壮年期(ジュリアン・ムーア)。
真面目で慎重であるが故にこの世界では生きにくく、精神を病んでしまう母。
儲け話があればどこへも行く、山師的楽天家の父。
そんな中で成長していくグロリアがバトンタッチで描写されていくのはもちろんではありますが、
本作、時には壮年のグロリアの傍らに少女や青年期のグロリアが寄り添ったりしています。
「そう、この道で間違っていない。それでいいの。」
おさなかったり、若かったりする自分自身が、自分自身にエールを送っているかのように。
だから、グロリアスなんですね。
そんな描写が、ステキなのでした。
<WOWOW視聴にて>
「グロリアス 世界を動かした女たち」
2020年/アメリカ/147分
監督:ジュリー・ティモア
原作:グロリア・スタイネム
出演:ジュリアン・ムーア、アリシア・ビカンダー、ティモシー・ハットン、
ロレイン・トゥーサント、ジャネール・モネイ
女性解放運動度★★★★★
歴史発掘度★★★★☆
満足度★★★★☆
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