舞台と言っても色々あるけれど
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役を生きる俳優の輝き、世界観を作り出す装置、息を潜めた観客たち
──すべてが合わさって生まれる「舞台」。
華やかで遠く感じるその空間は、
自分という役を生き、誰かの人生に思いを馳せる私たちにとって、
意外に身近な場所なのかもしれません。
ミュージカル、2.5次元、バレエ、ストレート・プレイ……
さまざまな舞台を題材に描かれた五編を収録する文庫オリジナル・アンソロジー。
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私のお気に入り、創元文芸文庫のアンソロジー。
テーマは「舞台」です。
演劇、ミュージカル、バレエ・・・舞台といっても色々あります。
そんな中で、私も知らなかったのが2.5次元というもの。
アニメやゲームなど、極力その世界観、キャラクター感を
損なわずに際立たせる、ストーリーと音楽、そして映像を加えて、
いわゆる「オタク」の感動を盛り上げようとする舞台・・・ですかね。
そういうのは私も見たことがなかったけれど、
本作では2作がこの2.5次元モノに触れていまして、
なるほど、そういう時代であるわけです。
冒頭、近藤史恵さんの「ここにいるぼくら」も、まさにその2.5次元を題材にしています。
34歳、役者の琴平は、劇団の定期公演の他はアルバイトをしながら
他の舞台のオーディションを受けるなどして暮らしていますが、
このたび、「大江戸ノワール」というゲームの舞台化
すなわち2.5次元の出演依頼を受けます。
通常の舞台とは色々勝手が違う、この世界のことを知るにはもってこいの作品。
興味深かったです!!
最後の乾ルカさん「モコさんというひと」も、2.5次元モノ。
こちらは舞台の内容はさほど重要ではなく、
モコさんと言う人物の謎をミステリ仕立てで描きます。
広瀬真美が、2.5次元ミュージカルのチケットを譲ってもらったモコさん。
それから多少連絡を取り合うようになったのですが、
最近彼女のSNS投稿の内容が不審なモノになっている・・・。
真美はもう以前のようにモコさんとは親しく付き合えないと感じ始めますが・・・。
本巻に収録されているのは・・・
(敬称略)
近藤史恵、笹原千波、白尾悠、雛倉さりえ、乾ルカ
「アンソロジー 舞台!」創元文芸文庫
満足度★★★.5
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