映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ガラスの城の約束

2019年07月01日 | 映画(か行)

私たちはきっと自立して、いつかここを抜け出す。

* * * * * * * * * *

実話に基づくストーリー。
ニューヨークで人気コラムニストとして働くジャネット。
恋人と婚約もして順風満帆。
けれど彼女は仕事仲間や友人たちに、彼女の親のことを話すことができません。
というのも、彼女の両親はホームレスも同然の暮らしをしているのです。
物語は、彼女の子供時代からの回想と現在のシーンが交互に語られていきます。



定職につくことがなく、酒浸りの父・レックス(ウッディ・ハレルソン)は
妻と4人の子供を引き連れて各地を渡り歩く暮らしをしていました。
子どもたちは学校へも行かず、お金がなく食べ物に困るときもあったのです。
母・ローズマリー(ナオミ・ワッツ)はといえば、
いつも絵を描くことに没頭し、子どもたちの食事の支度も疎かになることも。
それでもさすがにこの生活に嫌気が差したローズマリーのたっての願いで、
レックスの実家のある田舎町にやってきて、オンボロながらも一軒家に定住することになるのです。
しかし、家族の生活は相変わらず貧しく・・・。

ろくに稼ぎもなく飲んだくれの父親・・・。
夢見るように絵を描いているだけの母親。
ジャネットは弟や妹たちと誓い合うのです。
「親は私達を守ってはくれない。私達はいつかきっと自立してここを抜け出す。」



憎んでいる父親のはずではあるのですが、
けれども切っても切れないのが親子の絆というもの・・・。
必ずしも悪いことだけではなかった。
いつか家族のためにガラスの城を建てると約束してくれた父。
星空を眺めて、好きな星を一つプレゼントしてやると言ってくれた父・・・。

ジャネットは自分が父を大好きでもあったことをも思い出すのです。
そしてまた、父がこんなふうになってしまったことの根っこが
なんとなく垣間見えたりもします。
それは父とその母親との関係。
誰にも言えない苦しみを抱え続けていた人の末路というのも悲しい・・・。

 

奨学金を受けながら大学へ進学し、
自力でどん底の生活から這い上がったジャネットの強さにもまた感慨を持ちます。
今の世の中、こういうことはかなり難しそうです。
そしてまた、いちばん大切なのはお金ではない、ということでもありますね。

<シアターキノにて>
「ガラスの城の約束」
2017年/アメリカ/127分
監督:デスティン・ダニエル・クレットソン
出演:ブリー・ラーソン、ウッディ・ハレルソン、ナオミ・ワッツ、マックス・グリーンフィールド、サラ・スヌーク
どん底度★★★★☆
家族の絆度★★★★☆
満足度★★★.5



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